里山日記


2003年5月18日
【ナラ枯れの駆除】

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 この間の調査で、思ったよりひどかったナラ枯れ、今日はみんなの協力を頂いて駆除する。以前から相談していたKRさんが開く講座のひとつとして取り上げていただいて、山形県森林研究研修センターの研究員の方を講師にナラ枯れの駆除を実践で教えていただくことになったのだ。
 ナラがある周りは雪椿の藪で動きまわる事さえままならない状態なので、少し整備しようと思い朝5時山に入った。冷んやりした空気が気持ちいい。今日は受講生も来るわけなので、まず通り道を少し整備した。そして、この間印をつけた木の周りをチェンソウで刈る。2時間ほど作業して朝食、その後また整備をする。あっという間に10時になる。そろそろみんなが来る頃なので、林道のほうへ降りてみる。参加者は10人程度だろうとKRさんは言っていた。近くまで降りていくと、それらしい車が連なって林道を走ってくる。なんと車が10台ほど、参加者は27人まさかこんなにいるとは思わなかった。
 あいさつの後、さっそく尾根まで上っていく。急な山は上るだけで息が切れる。適当な場所を設定し、講師の先生が一連の手順を示し、実際に作業をしながら説明していただく。まず、周りを作業しやすいように整備する。そして虫のいる木の、下から1.5mほどのところまでドリルで細かく穴をあけていく。そこに薬剤を注入する。単純なようだが、この方法にたどり着くまでは大変だったそうだ。世界一の駆除方法と先生が言っていた。
 説明の後みんなで作業開始。女性だってドリルを使う。人数が多いので、機械や薬剤を使う人以外はみんなで周りを整備する。見る見るうちに藪がきれいになって、歩きまわれるようになってくる。そして発見、藪の下からナラの稚苗が数本。この苗は、藪の中では大きくなれずに消えていくのだそうだが、今日みんなに整備していただいたおかげで日の目を見ることができた。今枯れていくナラの後に大きく育ってほしいと思い、これからも杉だけでなくこの周辺の整備も続けていくことにする。
 一休みにタバコを吸う人もいたが、それぞれにマイ吸殻入れ持参、自分で始末する。私の事務所の前には袋に入れたゴミがおかれている事まであるのに、さすが山男、あたりまえの事とはいえ感激する。作業は3時過ぎに切り上げる。残った分はKRさんが手伝ってくれるというので、後で来ることにした。
 この山にこれだけの人が入ったのは何十年ぶりなのだろうか。みんなへの感謝の気持ちでいっぱいだ。今まで山から受けてきた恵への感謝、ほったらかしにしてきた償いが少しできたような気がした。これまでで最高の感動、胸が熱くなる。
 
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