里山日記


2003年2月16日-T
【林業実習“伐採”】

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 昨年まで山の仕事など一切した事がなかった私がいきなり一人で山にいっても、当然のことながら何をどうしたらよいかわかる訳も無い。山に行ってみようと思い始めた一昨年、ちょうどよい具合に一つの講座を知ることができた。その林業実習の講座は林業を営む人を講師に迎えて山の下刈り、除伐間伐、枝打ち、伐採などの一連の作業を山に行って実践で教えてくれるもので、私にとってはまさに“渡りに船”の講座だった。9月1日から始まったその講座は10月に山に入るまで、山での作業や知識を教えてくれるだけでなく「自分にも何とかやれるかもしれない」という気持ちを与えてくれた。
 今日はその林業実習、今日のテーマは“伐採”。長年かけて手入れをしてきた長大木をいよいよ伐り倒すのである。この日は穏やかな天気で、2月とは思えないほど暖かかったし、海に近いこの山にはほとんど雪も無い。講師の先生の山は丁寧に整備されている。その中の一本、伐り倒される木は80年ほどの木できれいに枝打ちされた見事な姿だ。まわりにはもっと太い木もあり、これでもまだ間伐の段階なのだそうだ。
 太い木にチェンソウが入る時の緊張、まずは木を倒す方向に受け口を切る。そして反対側からチェンソウを深く入れていく。チェンソウが受け口に届く前に外し矢で追い込んでいく。この地に80年間根を張ってきた木が倒れる瞬間、感激とともにちょっと感傷的な気持ちが湧いてくる。しかし、この木はこれから建築用材として第二の人生を迎えるのだと思うと、逆に晴れやかな気もしてくる。
 伐った木はその場で玉切りされてユニックに積まれる。製材される前に集積所で2〜3ヶ月乾燥させるのだそうだ。この木が柱になり造作材になり、ちゃんと使えばこれから百年以上生きていく。長いサイクルの中でほんの一部分でも自分が関わることが出来たと思うと、ちょっとうれしくなってくる。家の山からもいつかこんなに立派な木を出すことができるのだろうかと、ふと考える。今年は雪が少ないとは言え、スーパー農道から入る林道はまだ車では入れる状態ではない。雪解けがいつもの年以上に楽しみになってくる。

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