ネタ切れするまで続く
木曜日は木の話
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2008年6月

その239  麦          6月26日
 
事務所の隣は両方とも空き地です。と言っても、その片方は減反のための畑で、毎年麦が植えられています。秋の終わりごろに種が撒かれてから冬を越して、春になると一気に大きく育ってきます。今月に入ってからは、黄金色に色づいていました。
その麦が、昨日刈り取られました。稲の刈り取りと同じくコンバインでの共同作業で、ほんの十数分ほどで終わりでした。面積も小さいですが、なんと早いものです。
麦は見た目イネと似ていますが、そのまま見ての通りイネ科です。パンやうどんになったり、家にあって料理に良く使われるのは小麦です。ビールやウィスキー、焼酎などの原料になるのは大麦です。麦ご飯は食べたことがありませんが、麦にも米と同じように、「うるち種」と粘りのある「もち種」があるそうです。昨日刈り取られた麦が何麦なのか?残念ながら私は見ても分かりません。
何でも値上げの昨今、輸入小麦の値段も上がっているようです。世界的に見ての食料需要の増大や、バイオ燃料による穀物需要の増大などがおもな原因なのでしょうか。小麦の自給率は10%ぐらいだそうです。そうすると、稲庭うどんや讃岐うどんは今までも輸入品だったのでしょうか。
少し高くなっても安定して入ってくるのであれば、何とか凌げるのかもしれませんが、それも怪しいかもしれませんね。この事が、食料自給率をあげる対策をとるいいきっかけになってくれればと思うのは、私だけでしょうか。
ちなみに、昨日の夜今年初めてのホタルを見ました。もうそんな時期なんですね。



その238  ウコギ          6月19日
 
今年は色々な山菜を採ることができて、なんだか充実した春でした。山菜料理が美味しいと感じる、私もそういう年なのだろうかと思う今日この頃です。
以前にもウコギの話しをしたことがあったでしょうか。この辺ではあまり聞きませんが、上杉鷹山公が推奨していたという米沢では、垣根にも多く使われています。ウコギ科という大きなくくりには、タラノキやコシアブラもあって、それと同じように新梢や若い芽などを食べます。
このウコギの苗が2本、先週手に入りました。枝にはタラノキやハリギリのようにトゲがあります。葉っぱは、コシアブラとよく似ています。いかにも同じ仲間といった感じです。高さは30cmほどで、プランターに植え替えて事務所に置いていますが、若い芽がどんどん伸びています。収穫には少し遅めかも知れませんが、来年まで待つのは長すぎるので、今日、若い芽を10個ほど摘み取ってみました。
さっそく茹でて、刻んでから塩をかけて、それを弁当のご飯に混ぜ合わせて食べてみました。味はほろ苦く、コシアブラのようなコクがある味ではなくて、もっとさっぱりしています。ウコギのほろ苦さとほんのり塩味が、ご飯にぴったりの逸品でした。まだ若い芽が伸びてきそうなので、もう少し収穫できるかもしれません。
ウコギ科には食べられるものが多くあります。ハリギリもそうですし、見たことはありませんがタカノツメという木もウコギ科です。何となく信じられませんが、ウドはウコギ科タラノキ属で、タラノキと近い仲間です。かたや多年草、かたや樹木ですが、ウドが土から顔を出して伸び始めたところは、タラの芽が伸び始めたところとよく似ています。その二つを見比べると、なるほど同じ仲間かもしれない、と納得できます。母にその話をしたら、「木ぃど草だでば、そんだ訳げねぇろや」と言って、信じてくれませんでした。それもまた、納得できますね。



その237  アカミズとアオミズ          6月12日
 
今年は、叔母さん一緒に山に行ってもらって、山菜の事を色々教えてもらいました。おかげで、一人でも少し採れるようになりました。今まで採ったミズは茎が赤い「アカミズ」でしたが、この間は茎の青い「アオミズ」を採って来ました。アオミズはアカミズよりも細めで、丈も小さめです。アカミズよりも少し希少価値があるようです。
この間山形からの帰りに西川の道の駅に寄ったら、アカミズとアオミズを売っていました。値段はどちらも一束200円。でも明らかにアオミズの束は小さくて、「なるほど、こっちのほうが高いのか」と分かりました。
家の山にあるミズも、ほとんどがアカミズです。でも、その中の一角に、少しまとまってアオミズがありました。初めに採りに行ったときに見つけていたのですが、やはり小さかったので採らずにそのままにしていました。先週の土曜日に、そろそろいいかなぁ、と思って採って来ました。西川で売っていたものと比べても、丈も太さも遜色ありません。
採ってきた朝に、さっそくバター炒めにして食べました。シャキシャキとした歯ざわり。でも、アカミズよりも柔らかくて食べやすい。何とも、いいですね。
山には化学肥料どころか、堆肥も入れません。落ち葉や枯れ草が積み重なって、土に返って養分になって、また次の植物が育ってくると言う循環があるわけです。
もちろん消毒も無しです。それなのに、ミズに限らず虫食いの葉っぱは目立ちません。虫がいないのではなくて、ミズ以外の草木がいっぱいあって、いくら虫が食べても目立つほど食べきれていないのだと思います。畑では、他の草をきれいにむしって、育てたい野菜だけがそこにあるので、虫もその野菜(葉っぱ)を食べているのでしょう。
でも、病気はなぜ付かないのでしょう。きっと、自然の中でたくましく育ってきて、植物自身がもつ免疫力が強いのではないかと、勝手に思っているところです。その強い免疫力を持った自然の恵をいただくことができると言うことは、とても幸せなことです。



その236  割り箸          6月5日
 
この間たまたま見たテレビで、その出演者が「いつも国産材の割り箸を使うように心がけている・・・。」と言うような話をしていました。割り箸と言うと一部に竹のものなどがありますが、ほとんどは木です。使い捨ての割り箸が森林破壊につながるという事で、時々槍玉にあげられることがあります。割り箸を使わないように、マイ箸を持ち歩くと言う人もいたりします。
正確な数字はわかりませんが、割り箸は全体の95%ほどが輸入品だそうです。やはり、輸入の割り箸は価格が安いようで、そのためにほとんどが輸入品に頼っているとのことです。その割り箸に使われる木が、そのためだけに伐られるのであれば、やはり森林破壊という事になるのでしょうか。
国産の割り箸には、スギやヒノキの他、広葉樹も使われています。これもそのためだけに伐られるとすると、1度だけ使って捨てられるのは、もったいないような気がします。それが、間伐材であったり、利用価値が少ない端材であったりすれば、逆に資源の有効利用という事になります。その割合は、残念ながらよく分かりません。でも、他の利用と合わせて割り箸に使っているものもあって、決して無駄に割り箸を作っているだけではないようです。
住宅用の資材に限らず、木を使わないで山をそのままにしておくことが良いとは言えないので、要は使い方なのでしょう。その木がどこから来てどうやって使われて、どこに行くのか。割り箸を使うか使わないかという事よりも、人がが暮らす中で森林とどう付き合うか、資源を無駄なく始末よく使うことが大事なような気がします。