ネタ切れするまで続く
木曜日は木の話
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2006年6月

その146  玄関のドア          6月29日
 
住宅には、玄関や勝手口などの出入り口があります。出入り口の建具には、開くタイプのドアやスライドさせるタイプの引戸があります。この引戸は日本の建具の特徴で、欧米には窓も含めて横にスライドさせて開閉する建具はあまりないようです。
日本では、出入り口のドアは基本的に外に向って開くようになっています。これも日本の特徴のようで、欧米では内に開くのが普通のようです。
では、内開きと外開きでは、何が違うのでしょうか。日本のドアが外開きなのには、理由が二つあると思います。(私的に見てです。)
一つは雨じまいの問題です。地面よりもポーチ、ポーチよりも玄関と、だんだん高くなってくる造りになっているので、雨風をしのぐには外開きのほうが都合が良かったのでしょう。これは分かりますよね。もう一つは、日本では玄関で靴を脱ぐ習慣があるので、狭い玄関に内開きのドアでは靴が邪魔になってしまいます。そのために外開きになったのでしょう。
では、欧米ではなぜ外開きではなく内開きなのでしょうか。これは人に聞いた話だったか本で読んだ話だったか忘れてしまいましたが、玄関は人を招き入れる役割をするという考え方からきているということです。
つまり、日本では雨じまい・玄関で脱いだ靴が邪魔にならないといった物理的な機能が優先しているように思います。逆に、内開きの玄関ドアでは、家に人が入る・招き入れるといった精神的な機能を優先しているといえるのではないでしょうか。あえて内開きの玄関ドアを付けようなどと言うつもりはないですが、気持ちだけは人を招き入れるという精神的な余裕を持っていたいですよね。
そう言えば、三瀬のユースホステルの入口のドアは内開きです。お客を招き入れるというユースホステルの機能から言えば当然といったところなのでしょうか。



その145  家相          6月22日
 
今年は、例年よりも住宅建設の動きが多いように感じています。私のまわりでもすでに着工している方、計画が決まって着工に向けて準備している方、今プランの打ち合わせ中の方などがいらっしゃいます。
プランの打合せをしている時に、程度の差はありますがほとんどの方が家相のことを考えているようです。私にも、その家相の表というのか盤というのかがあるので、それを見ながらプランをつくる事もあります。が、なかなかうまくいかないのが現状です。
家の中心から方位を八つに分けて、その中に水廻りや玄関などが入ると吉とか凶となる判断をするわけですが、それを気にしすぎると動線や部屋の配置が、???という事にもなりかねません。
たとえば玄関でいうと、冬の風が北西から吹いてくるので北側道路の土地で北面に玄関がくる場合には、北西や北面中央ではなく北東に玄関をもってきます。でも家相によると、西側・北西側の玄関はよくて、北東側(表鬼門といわれる)の玄関は良くないとなっています。
それと、その家相の盤は一つではなくて、その盤それぞれで違っていることなどもあります。なので、特に気にする方には、その道の人に聞いてくることを勧めます。
一番気にするのは、仏間・神棚の上(2階)を足で踏まないようにすることでしょうか。これはほとんどの場合クリアしています。それでもクリアできない場合は、神主さんに相談して御はらいしてもらったなどということもありました。
基本的には、風の向きや太陽の向き、その土地・その地域にあわせたつくりにするというのが基本だろうと考えています。
 


その144  山の木W          6月15日
 
実習でいく三瀬の山にはタラの木がいっぱいあって、山菜にはまったく無知の私でも、タラの木だけは分かるようになりました。もっとも、見た目も特徴的なので、誰でもすぐに分かりますよね。
家の山に行くようになってから、今年で5年目になります。家の山ではタラの木を見たことがなく、そこにはないものだと思っていました。三瀬の山から枝でももらってきて、サワラの時のように挿し木にしようかなどとも考えていました。ところが、今年になって家の山にタラの木がいっぱい見つかりました。まだ細くて小さくて、高さも40cmほどしかありませんが、間違いなくタラの木です。思わずガッツポーズでした。
今までは混み合った杉と低木の常緑広葉樹の藪で、地面にまったく日の光が当たらなかったものが、藪を払って杉を除伐して、少しは環境が良くなってきたからタラの木も芽を出してきたのかな、などと一人で満足してきました。
気付いてみると、あちこちそこいらじゅうにいっぱいあります。トゲのあるものがタラの木http://www.dewa.or.jp/~konno-t/sa06/sa060604-3.JPG)で、似たような形でトゲのないのはコシアブラhttp://www.dewa.or.jp/~konno-t/sa06/sa060604-4.JPG)だろうとおもいます。どちらもウコギ科で、コシアブラのほうが少しくせが強いようです。どちらも天ぷらにすると、春の香りいっぱいで絶妙ですよねぇ。この木が今年成長したら、来年の春にはタラの芽まつりができそうなほどいっぱいあります。
ウコギといえば、上杉鷹山公が飢饉の時の非常食にと奨励して、米沢では垣根に使っているという話です。米沢の食べ物A・B・Cというとリンゴ:apple、牛肉:beef、鯉:carpが有名ですが、ウコギはあまり聞いたことがありませんでした。今度米沢に行ったらウコギ料理を探してみようと思います。
ところで、前に移植した柿の木はどうだったかと言うと、枯れたのも少しありますがなんとか根付いているようです。春はタラの芽、秋は柿の実、なぁんて具合にうまくいくといいんですけどねぇ。
 


その143  山の木V          6月8日
 
この間の日曜日に、家の山に行ってきました。いつものように杉の木の除伐したり、藪を払ったりです。
山に行くようになって今年で5年になります。初めのころは、伐る杉の木も細くて小さいものばかり、径も10cm前後、高さもせいぜい7〜8mぐらいでした。伐った木はどうするかというと、簡単に運び出すわけにも行かない場所だし、運び出しても使い道がないので、その場で造材して土に返します。それでももったいなくて、何本か家に持って帰ったことがあります。父が雪囲いに使っていました。
細い木を一通り始末しても、まだまだ杉の木は混み合っています。最近伐る木はそれなりに大きいもので、径で20〜30cm、高さも10〜15m以上のものが多くなっています。そうすると、その場で切り刻んでしまうのが益々もったいなく感じてしまいます。この間も一本、皮を剥いてとって置きました。
木は、伐ったままにしておくとすぐにキクイムシが入ります。皮と去年までできた幹の間の、新しくできた柔らかい部分をキクイムシの幼虫が食べるのです。見事なまでに食べつくして、そこで成虫になって出て行きます。
そうならないようにするために、伐ったらすぐに皮を剥いてしまいます。今頃の木は、水分をたっぷり吸い上げています。その水分は皮のすぐ下の部分を通って吸い上げられていて、皮がとてもむけ易くなっています。端っこのほうをナタで引っ掛けてむくと、スルスルとおもしろいようにはがれてきます。皮をはいだ後の表面は湿っていると言うよりも、水がついてビショビショに濡れているといった感じです。それだけいっぱい水を吸い上げているんですね。
木が成長しない秋から冬は水分を吸い上げないので、木材の含水率は低いのですが皮はとてもむけ難くなります。
その日に皮をむいた木は、元で21cmほど、長さは4.5mほどのもので2本取れました。が、重くて運び出せません。少し乾いて軽くなったら運び出してみようか、あるいはもっといっぱいためて、そこにツリーハウスでも建てようか、などと考えていると、それだけでも楽しくなってきます。



その142  山の木U          6月1日
 
今まで事務所の軒下にあったドングリの木(ミズナラ)と富有柿の木の苗を、山にもっていって植えてきました。ドングリの木は鉢に植えてあったのですっぽり抜いてもっていくことができたのですが、富有柿のほうはそのまま土に種を撒いたので、これが思うように行きませんでした。
種を撒いてから3年目か4年目だったはずですが、一人で運ぶにはちょっと大きくなりすぎたようでした。木自体の太さは1cm足らずなのですが、根っこが張っていて掘り起こすのがけっこう大変でした。少し根もいためてしまったかもしれませんが、このまま軒下においておくわけにも行かず、無理を承知での移動になりました。とりあえず掘り起こした根っこを、土ごとスーパーの買い物袋に入れて、乾かないようにして山に運びました。
ドングリの木のほうは、ナラ枯れで枯れた木がたくさんある尾根のほうに植えました。
柿の木を植える場所も、本当は尾根の日が当たる場所のほうがいいだろうと思っていたのですが、実がなったとき採りに行くのが大変だ、などと捕らぬ狸の皮算用をしながら、下のほうでも比較的日があたり易くなっている場所を選びました。
そして、植えるために穴を掘ろうと思ったのですが、これがまた大変で、山の土の中には雑木か草か何かの根っこがびっしりで、とても簡単には穴がほれませんでした。それでもなんとか小さな穴を掘って、柿の木を植えてまわりの土を寄せ集めて少し盛り土をしました。
桃栗3年柿8年、なんて言葉がありますが、その通りだとすると実がなるまでもう4.5年、早く実がなんなにかなぁ、などと考えるとついついにっこりしてしまうのですが、それよりもちゃんと根付くかどうか心配です。今度山に行ったら、また報告します。