ネタ切れするまで続く
木曜日は木の話
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2006年5月

その141  木造住宅の木製建具U          5月25日

先週の続きで、既製品の木製建具と現場製作の木製建具の違いについてお話したいと思います。
色柄の場合で見てみると、既製品の建具の場合、枠と建具がセットであるため、わざわざ合板や塗装の色合わせをしなくても、同じ仕上げで統一されます。また、建具枠以外の造作材(巾木・廻り縁など)と同じ色柄にすることもできます。枠・建具ともに、表面はプリントのシールのものが殆どなので、すべて色をそろえることができるわけです。それに比べて製作建具の場合は、枠の塗装と建具の塗装(あるいは合板の色)をあわせようとしても、素材(木材)の色の違いや塗装のしみこみ具合で、色合わせをしても必ず色違いが出てきます。
建具にとって肝心の建付けについても、既製建具のほうが寸法の狂いが少なく、金具での建付け調整もしやすくなっています。それに加えて、既製建具の形や柄の種類も増えて、以前は高かった値段も製作建具に比べて負けていないのが現状です。唯一、特殊な寸法(大きかったり小さかったり)の場合は現場製作の建具になると言った感じでしょうか。
と書くと、既製品の建具が普及してきたのがあたり前のようにも思いますよね。
では、いま自分の家を建てるとしたら既製品の建具を使うかと言うと、答えはNOです。その理由のひとつは、やはり既製建具は真壁には合いません。私は基本的には真壁の建物が好きなので、自分の家を建てるとしたら真壁にするでしょう。それともう一つ、考え方が古いのかもしれませんが、どう見ても既製建具は味気なく見えてしまいます。全部同じ色、全部同じ形で、同じ表情をしています。そもそも、そんなに色を合わせる必要があるのかどうか、基本的な性能に変わりなければ、そこにウェイトをおく必要は無いわけですよね。
事務所に使っているシナ合板のクリア塗装の建具は、木の目によって模様や色が違っていたり、節っぽいところや黒いしみのようなものがあったりします。日に焼ける部分と影の部分で、色もずいぶん違ってきています。でも、そんな表情が良かったりもするわけです。



その140  木造住宅の木製建具          5月18日
 
住宅には多くの木製建具を使います。基本的な構造には関わりませんが、機能としては重要な部分です。
木製建具といえば10年ほど前までは、現場で大工さんが加工して取り付けた枠を建具屋さんが寸法を取って、一枚ずつ現場に合わせて作っていました。デザインもその家その家で違っていました。その後、少しずつ建材メーカーの既製品の木製建具が普及してきて、この5年ぐらいの間に住宅の現場では既製品の建具のほうが多くなってきました。
既製品の建具の多くは、枠と建具がセットになっています。そのため、始めは大壁の洋室に使うのがメインでした。その後デザインや種類も増えて、今では大壁の和室が多くなったこともあり、和室の襖や障子も含めて全てが既製品建具ということも珍しくなくなりました。
もっと前の話をすれば、40年ぐらい前までは外回りの建具も木製でした。そこに、昭和40年代に木造用のアルミサッシが登場して、アルミサッシはその優れた耐候性や気密性から一気に普及しました。
40年前、私はもちろん生まれているので感覚としてわかりますが、いま家を建てようとしている人の多くはまだ生まれていなかった時代のことになります。
既製品の木製建具が普及した理由は、今の施主のニーズがより既製建具に傾いているということもあると思いますが、施工側からの誘導という面があることも事実のようです。それは、建具廻りは床鳴り等と並んでアフター(クレーム)の多い部分であるということが関係しているのかも知れません。その内容の多くは建付けの問題でしょう。それと、着色した場合の色むらなどもあります。
では、既製品の建具と現場製作の建具は、どこがが違うのでしょうか。というような話を来週にしたいと思います。

 


その139  山の木          5月11日
 
先週の木曜日は5月4日、お休みだったので木の話も休ませていただきました。この日はゴールデンウィークの中で唯一、丸一日仕事の用事がない日でした。そして約半年ぶりに山に行ってきました。冬の山には行っていませんが、今年はやはり雪が多かったのでしょう。いつもの年よりも雪害と思われるものがたくさんありました。
根元から倒れているものが一番多く、土がついた根っこごと倒れています。他には幹がボッキリ折れているものがありました。そして、意外に多かったのが途中から折れ曲がって幹が割れている(裂けている)もの、これは今までに見たことの無い形です。やはり雪の降り方が、今までの年とは違うということなのでしょうか。
それと、去年の春に挿し木して順調に根付いていたサワラも、引きちぎられるように折れていました。斜面の中では一番ゆるくなっていて、一応は雪のことも考えて場所を選んだつもりでしたが、なかなか難しいものですね。
それと比較して、尾根沿いにあるミズナラの実生には被害らしいものは見当たりませんでした。そのあたりでは杉の木の被害もありませんでした。尾根には雪が積もりにくいのでしょうか。あるいは、斜面の場合は雪が降ったり融けたりする際に、下にすべるために被害が出やすいのかもしれませんね。
家の山は、私が整備し始めてから5年目になります。除伐もだいぶ進んでいますが、やはりまだまだなのでしょう。木の混んでいる所の被害が多いようでした。今年も頑張って山に行きたいと思っています。
山の木の事は色々とやってきましたが、私は山菜やキノコのことをほとんど知りません。山菜採りと呼べるものはほとんどしたことが無くて、もちろんどれが食べられる山菜なのか、足元に生えていても分かりません。ということで、今年は知り合いの大工さんにお願いして、山菜採りに連れて行ってもらうことになっています。今から楽しみです。