ネタ切れするまで続く
木曜日は木の話
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2006年4月

その138  木造住宅と地盤          4月27日
 
去年の後半あたりから、なんとなく住宅建設の動きが慌しくなってきたような気がしています。とは言っても、以前のように話が出たらすぐ決まってすぐに着工、なんて状況とは違うのですが、動きがでてきたのは確かなようです。それに伴なってかどうか、住宅ローンの金利も上がるようですね。
木造住宅でも、今ではあたり前のようになった地盤調査と改良工事、今年になってからも何件か調査しました。1件を除いてすべて改良工事が必要という結果でした。
スェーデン式サウンディング試験のデータから地盤の状態を読み取るのは非常に難しく、ボーリング調査のように正確にはいかない面もあります。が、おおよその地質や地耐力、建物を建てたときの沈下量などを推測することができます。
データを見るときは建物の荷重の影響を受けやすい基礎底面下0〜2mまでの部分と、その下の2〜5mの部分に分けてみます。たとえば、0〜2mの部分に1mの自沈層があったとすると、その部分で4.5cmほど圧密沈下することが予想されます。また、2〜5mの部分に1mの自沈層があったとすると、1cmほどの圧密沈下が予想されます。これは砂質土か粘性土かによっても変ってきますし、建物の自重によっても違います。
それとあわせて、今まで建物が建っていた土地かそうでないかや、まわりに建物があればその状況などもあわせて考えることが必要でしょう。
なかには測点によって地盤の状況が違う場合もあって、そうなると不動沈下の原因にもなるので注意が必要です。
現場によっては改良工事を終えたところ、改良工事を含めて予算を調整したところ、これから検討するところもあります。いずれにしても耐震強度や法令違反に敏感な昨今、10年保証をどうするかに関わらず何らかの措置をすることが必要なのでしょう。
 
余談
地耐力は「ちたいりょく」と読みます。地盤は「じばん」と読みますよね。同じ地という字なのに濁点が付くと、タ行からサ行に変わるのはなぜなんでしょう。
ちなみに血(ち)は鼻血(はなぢ)になって濁点が付いても「ぢ」ですよね。
いつの頃からか(たぶん中学ぐらい)気になって仕方がありません。
私今野、化学も苦手でしたが国語はもっと苦手でした。どなたか理由をご存知の方いらっしゃいませんでしょうか。



その137  五重塔の実験          4月20日
 
先週末のニュースで、五重塔の1/5スケールの構造実験が行なわれたということが報じられました。内容は、震度5強の揺れに対して心柱をはずしたり、接地させないで1階の梁の上に立てたりしての耐震実験ということでした。
五重塔の心柱は建物の荷重を支えるいわゆる大黒柱ではなく、どちらかといえば真ん中にぶら下がっているという表現が相応しい形になっています。その耐震性能は、心柱と五層の屋根が揺れを吸収して地震に耐えるという説と、横揺れの時に受けるせん断力と心柱の曲げの振動とのバランスで耐えるという説があったようです。もちろん、心柱は耐震性能とは無関係という考え方も、以前からありました。
実験の結果はと言うと、新聞によって書き方が違うようでしたが、五重塔の耐震性能に心柱が関わっているかどうかやはりはっきりした事はいえないと言う、今までの説から大きく進展するものではなかったようです。
木造の伝統型の工法には、1階と2階の柱を通す方法(通し柱)と、梁を通してすべてを管柱にする形があります。建築基準法では、階数が2以上の木造建物のスミ柱は通し柱にしなければならないことになっています(補強した場合を除く)。
そのため通し柱が丈夫な家の目安になっているような雰囲気もありますが、通し柱の中央部(2階の床の部分)には梁が取り付くわけで、建物に横揺れの力がかかった場合はその部分は非常に折れやすい状態です。
建物の出隅には横揺れの際に引抜きの力がかかるため、1・2階の柱を通してその引抜きに耐えると言う意味なのでしょう。が、その前に柱が折れてしまっては意味が無いですね。実際に伝統型の工法を手がける大工さんに聞いてみると、柱通しよりも梁通しのほうが地震の際には丈夫だろうと言う答えが多いようです。もちろん耐力壁をしっかり配置することは言うまでもありません。
五重塔も通し柱のない形になっています。それと、上にいくにしたがって屋根が小さくなって、見た目のバランスもいいですよね。だからと言って耐震的に丈夫だと言う理由にはなりませんが、何かしらのヒントにはなっているのかもしれません。



その136  砂鉄          4月13日
 
「灰の中から砂鉄が取れる」ホントに不思議でなりません。これが結構な量で、磁石を入れるとびっくりするぐらい取れるんですよ。ちょこっと調べてみましたが、なかなかすっきりした答えは出てきませんでした。
そもそも砂鉄とは、鉄と酸素が結びついた酸化鉄、いわゆる鉄錆だそうです。錆といっても、鉄をボロボロにしてしまう赤錆ではなく黒錆のほうです。黒錆は表面に皮膜を作って、鉄がそれ以上錆びるのを防いでくれます。昔の鉄で出来た道具(農具など)は黒錆を発生させて腐食を防いでいます。
赤錆は元素記号で言うと「Fe2O3」、黒錆は「Fe3O4」となるそうです。同じ鉄分と酸素でできているものなのに全然性格が違う、これも不思議ですよね。
そう言えば、灰は焼き物のときに使う上薬としても利用されますよね。これも焼くことによって化学反応が起きるのでしょう。何度も言ってきたような気がしますが、私今野、物理は得意でしたが化学は苦手です。同じ理科という括りにして欲しくないぐらいです。
木が燃えるときは炭素と酸素が結びついて「CO2」が発生する。その時に木の中にある(と仮定する)鉄分も酸素と結びついて「Fe3O4」ができるのでしょうか。化学に得意な方、どなたかご存じないでしょうか。



その135  灰W          4月6日
 
先週の木の話は、私の都合でお休みさせてもらいました。今週は、灰の話の続きです。
先週、頼んでいた灰をもらってきました。そして、取り出したのは磁石です。まずは事務所の火鉢の灰に突っ込んでみました。2.3度かき回してあげてみると、うん、付いていました、砂鉄っぽい粉が。
さっそく紙の上に払い落としてしたから磁石をあててみると、うん、確かに動きます。次に高級タイプの薪ストーブの灰、やっぱり同じく砂鉄っぽいものが付いてきます。でも、どちらも小さい頃の記憶よりも量が少なくて、砂鉄の形も細かかったり大きかったりで、ちょっと雰囲気が違うような感じがしました。
そして、プリキタイプの薪ストーブの灰、磁石を入れて2.3度かき回してあげると、うんうん、これです。量も断然多いし、記憶にあるのと同じさっくりとした砂鉄の色・形。これを紙の上に払って下から磁石をあてて動かすと、そうそうこれです、間違いない。懐かしくてしばらく遊んでしまいました。
小さい頃は、この砂鉄が動くのが不思議で仕方なかったのですが、今はなぜ薪を燃やした灰の中にこんなにいっぱいの砂鉄ができるのか、そっちのほうが不思議です。
それはそうと、灰の重さが違うのはこの砂鉄の量が違うためだったんですねぇ。なるほど。
ところで、灰の中にできている塊は磁石にふっ付くか?というと、残念ながらふっ付きませんでした。あの塊はいったいなんなんでしょうねぇ。そして、砂鉄はいったいどこからやってくるんでしょうかねぇ。ますます不思議です。