ネタ切れするまで続く
木曜日は木の話
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2005年10月

その115  地盤調査V          10月27日
 
地盤調査をしたら、その結果をみてどう対処するか検討します。
見方のポイントは、
1.地盤が均質か : 測点ごとのデータに差があるかどうか
2.想定される土質 : 粘質土、砂質土、砂利、岩盤など
3.想定される地耐力、支持地盤の深さ
4.自沈層があるか
などです。
これらを見て改良工事が必要かどうか、必要な場合はどのような種類の改良が良いかを決めていくわけです。地盤改良には大きく分けて、柱状改良と表層改良とがあります。
柱状改良には、この辺で一番良く見られる鋼管杭やセメント状の固化材を柱状に撹拌するものがあります。表層改良には表層の土を入れ替える方法や、土とセメント系の固化材を混ぜて地耐力を確保するものなどがあります。上に書いた1〜4のポイントの内容によって、どの方法が一番良いかを検討します。その際には基礎を、布基礎にするかベタ基礎にするか、あるいはどのような配筋にするかといったことも、合わせて検討します。
たとえば、比較的良い支持地盤が浅い位置にある場合は表層改良、軟弱地盤が深くまである場合は、鋼管を支持層まで打つ、と言った具合です。基礎を造る地盤の支持力が30KN(キロニュートン)/u以上見込める場合は、改良工事なしで布基礎・ベタ基礎で対応できるかな、と言ったところでしょうか。その場合も、ベース巾や配筋などはそれぞれに検討したほうがいいですね。



その114 地盤調査U          10月20日
 
地盤調査のなかで最も多く行われているSS試験、見たことがある人も多いと思いますが、普通は自動の機械で行います。でも、手動で試験できる器具もあります。去年の7月の大工塾では、その手動のSS試験を実際にやってきました。
ロッドを回転させるときに手に伝わってくる感触がガリガリだったりジャリジャリだったり、それで砂質土か粘質土か、あるいは砂利混じりかなどの想像がつきます。また自沈層(回転しなくても沈む部分)の場合も、ストンと落ちるのか、少しきっかけがあってゆっくり落ちるのか、色んな情報が実感できます。大きな機械ほど深くまでは調査できませんが、地盤の状態を感覚でとらえる事ができます。これは、データを読み取って基礎や地盤改良の計画を立てるときに、数字から判断した結果をよりその土地にあわせて微調整できると言ったところでしょうか。
住宅性能表示や10年保証の場合などは、その保証をしてくれる地盤改良をする業者さんに改良工事をお願いするわけですが、はたしてそれが本当に必要なのかどうか、判断に迷うこともあります。改良工事には大きなお金がかかりますから、10年保証の対称にならないとしても、やらなくても済むのであればその方がいいという事もありますよね。
その判断の目安のひとつに「圧密沈下量」と言うのがあります。これは、自沈層の状態から建物を建てたときにどのくらい沈む可能性があるかを推測するものです。もちろん全然沈まなければいいのですが、なかなかそうはいきません。圧密沈下量の許容範囲の目安としては、5cm以下という考え方があります。
えッ、5cmも?、と思う人もいるでしょう。もちろん同じ5cmでも、あっちこちバラバラの地盤で不同沈下が起こりやすいような場合は、それに合わせた対応が必要になるでしょう。でも、地盤の状態が均質で、ある程度同じように下がっていくのであれば5cmは許容範囲と考えられると言うことです。
いや、それでは許せない!、と言う人は地盤改良をするわけですね。でも、生活するのに大きく支障をきたすような欠陥が出ないようであれば、ある程度の変形は許されると考える人は、家をバランスのよい形にしたり、軽量化したりということで対応することもできるという訳です。
正直なところ、土の中5m−10mのところの状態を正確に図るのはむずかしいです。そうなると10年保証をつけるには、ちょっと地盤が良くないとすぐ改良工事が必要ということになるわけです。
でも、できるだけその土地の状況に合わせて、できるだけお金をかけないで満足できる家づくりを目指すには、地盤をきちんと把握することは大切なことだと思います。



その113  地盤調査          10月13日
 
最近ではあたり前になってきた地盤調査、以前は木造住宅ではほとんど行われていませんでした。きっかけは住宅の性能保証や、主要な構造部分に対する10年の保証の義務付けでしょう。それまで曖昧にされてきたところを、ちゃんと確認するようになったわけですから、良い傾向といえるでしょう。
調査方法はいろいろありますが、一番多く見るのがスウェーデン式サウンディング試験(SS試験)ですね。費用は3〜4箇所で4〜5万円程度と比較的安価で出来ます。これは細い金属の棒を、荷重をかけて回転させながら沈めていく方法で、回転数を計測して地盤の支持力を推測します。
他に表面波探査法というのがあります。費用はSS試験と同じぐらいで出来るようです。これは地面に振動を与えてその振動の伝わり方から地耐力を推測します。
SS試験では砂質土か粘性土か程度の土質は推測できます。また、棒の先についてきた土を見ることもできます。が、調査の途中で大きな石などにぶつかると、そこは試験不可能になるし、コンクリート舗装などがある場合はそれを壊さないと試験できません。
表面波探査法では、表面が舗装でも試験できるらしいです(見たことはありませんが)。でも、土質はほとんど推測できないし、極端に柔らかい層がある場合は安定したデータが取れないとも聞きます。
どちらの方法も調査としては簡易な方法なので、データの数字も完璧というわけではありません。基礎の設計や地盤改良の計画にはある程度の余裕を持っておくことが無難なようです。
地盤調査の方法で、木造住宅程度ではあまり一般的ではないですが、標準貫入試験というのがあります。これは深いところまで調査が出来るし、土をサンプルとして採取するのでデータの信頼性も増します。費用は試験の深さや本数にもよりますが、SS試験などから比べても数倍はします。しかし、建物の重量が重くなる鉄筋コンクリート造や鉄骨造の場合は、この方法のほうがよいかもしれません。



その112  住宅の寿命          10月6日
 
この前の木の話で、日本の住宅の寿命が急激に短くなってきたという話をしました。それには、2つ理由があるように思います(私的に見ての話です)。
ひとつは住宅のつくり方=たとえば断熱材の入れ方や気密のとり方の関係などです。
断熱性能や気密性能をあげること自体は良いことなのですが、その施工の仕方を見ると、今の現状の多くは性能の50パーセントぐらいしか出してないのかな、という状況です。それでも半分いけば、まぁいいじゃん、とも思うのです。そこで、残りの半分が0(ゼロ)のままでいてくれるといいのですが、そうではありません。全体的にある程度の断熱・気密だとあまり問題にならないのですが、どうしても建物のコーナーや床下、壁と床のコーナーなど、施工上のウィークポイントが出やすくなります。そこにすきま風が入ったり湿気をよんだりして、木材の腐朽の原因になったりします。平たく言えば、マニュアルどおりに完璧には施工されていない部分があるということです。しかし、それを最高の状態になるように施工していくとなると、かなりの手間ひまがかかることは事実です。また、それが一番いいかというと、それもはっきり言って分からないというのが現状です。
もうひとつの理由は、合板をはじめとする新建材といわれるものの多用です。
古い家の板の間の床は、厚いムク材の板です。水をこぼして跡がついても、長年使っているうちに全体がなじんでいて、あまり気になりません。引っかき傷ができても、中から出てくるのはおんなじ木でおんなじ色だし模様だし、それもそんなに気にまりませんね。サンダーをかけて塗装し直すことも出来ます。今使われている新建材のフローリングは、一度傷がつけばそこはもう元のフローリングになじむことはありませんし、そこを削ることも出来ません。それどころか、その傷はだんだん大きくなって気になるばかりです。それは、壁や天井の仕上げにも言えることです。
という私の事務所のフローリングも合板なのですが・・・。ちょっと恥ずかしいですね。