ネタ切れするまで続く
木曜日は木の話
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2005年8月

その106  針葉樹と広葉樹U          8月25日
 
日本の森林の蓄材料が増えていると言う話をしました。天然林(主に広葉樹)はほぼ横ばいで、増えているのは人工林(主に針葉樹)です。でも、その人工林もそのままにしておくと木が成長出来ない状態になっていて、もうそろそろ飽和状態になっているのではないかと思います。
広葉樹が多い山と針葉樹が多い山、私的に見るとどっちでもいいじゃん、と思っていたのですが、先週も登場した自然保護のことに詳しいMさんの話では、「杉や松の林には小動物がいない。広葉樹の森には餌になるドングリなどがいっぱいあるため、ウサギなどの小動物が増える、そうするとそれを餌にするクマタカなどの猛禽類が住み着く。」のだそうです。
そこに生態系のサイクルが出来てくるわけですね。そうすると、その動物の糞や死骸などが、落ち葉や枯れ草などと一緒に土に返って、土壌も肥えてくるわけです。
杉を植林したところでも、2回杉を育てて伐採すると(200年もかかる訳ですが)、土がやせて杉を植林しても育ちが悪くなると言われています。そうすると一度、広葉樹の林に戻してやって、何十年後かに広葉樹を伐採して杉を植えるといいのだそうです。
そう言われると、なんか杉の山よりも、ナラやブナの自然の山のほうがいいのかなぁ、なんて思ってしまいます。
戦後日本では、ブナ等広葉樹を伐って杉など針葉樹を植えてきました。そのことを仕事として生活を支えてきた人もいたわけですから、それを頭から否定は出来ません。それと、杉を多く植林してきた一時期の後は、天然林の状態もそんなに変わっていません。
やはり問題は放ったらかしにされている人工林のような気がします。



その105  針葉樹と広葉樹          8月18日
 
このあたりで針葉樹というと、山のほうでは杉、海のほうではクロ松ですね。
杉は湿気を好む木で、風の強いところや西日のきついところでは成長が良くありません。それに対して松は、砂防の目的で海岸に植えられる事からもわかるように、風が強いところや砂地でも根を張って成長してくれます。
広葉樹では、コナラやミズナラ、ケヤキなどの高木が山の尾根や境界に植えられていたりします。もちろん自然に生えているものもあるし、高木以外にもたくさんの種類の木があります。
先日、自然保護のことに詳しいMさんとお話しする機会がありました。
いま、庄内の山でナラ枯れがものすごい勢いで進行しています。ここ3〜4年のことです。まわりの山を見てみてください。あちこちの葉っぱが赤くなって見えるのは、たぶんそのナラ枯れでしょう。私の家の山も、そのナラ枯れにやられています。
少し前までは、松くい虫の被害が問題になっていました。この辺の山でも、松が全滅しているところもあります。
そうすると今度は杉?、なぁんて思ってしまいますよね。
そのM氏いわく、「ナラ枯れや松くい虫のような被害も、たぶん昔から似たようなものがあったのではないのか。でも、昔は木を伐って使っていたので、そこが全滅する前に自然に食い止められていた、他に移っていくことを最小限にとどめていた。」のではないかとのことでした。確かに木は、昔から建物だけでなく、家具や生活用具・薪など、色んな用途に使われていますよね。
根拠のある話ではなく、そうなんじゃないかと言う程度のことのようでしたが、私もそんな気がします。
世界的に見た森林面積の減少が問題になっている中で、日本のように森林の蓄材量が増えているところもある現状を見ると、木の上手な使い方を考えていかないといけないな、と思いました。



その104  木X          8月11日
 
木を使わないと、どうして山が荒れるのでしょう。
杉などの人工林は、植林のときにある程度密になっています。その後成長に合わせて、除伐・間伐しながら大きな木に成長していきます。それを植林したままで放っておいたら、木は太れません。そうすると、風で倒されたり雪でつぶされたりして木は健全に育ちません。そして、木が密集しているため日の光も地面に届かず、草も生えないし地力も衰えてきます。
また、ある程度整備されていた山から木を伐りだしたとします。経済性を考えれば、一度に全部伐りだした方がいいので、山は丸坊主になります。それに植林していけばいいのですが、手間ひまかけても金銭的に合わないとなれば、そのまま放っておかれます。そうすると保水能力も下がるわけだし、CO2も吸収してくれません。
日本の天然林の材の蓄積量はずぅーッと横ばいです。それはそれで、自然の役割もあるでしょう。が、人工林は畑と同じです。植えたものを収穫もしないで放ったらかしでは、やはり良くありません。
これを、1000年単位とかで考えると、放ったらかしの人工林がどうなるかまではちょっと想像つきません。もしかしたら、いったん崩れた後に自然に広葉樹が生えてきて、天然林として生き返ってくるなんてことがあるのかもしれませんが、それではあまりにも無責任と言うものでしょう。



その103  木W          8月4日
 
先週、日本の人工林の木材蓄積量が増えていると言う話をしました。
日本の山の木が増えて、前にお話したCO2の固定量が増えて、これは良かった、となるかと思えばそうでもないようです。
人工林は成長期が終わって成熟期になると、相対的にみて二酸化炭素を吸収しなくなります。そこで木を伐って使う、そして植林して、また木が成長するときに二酸化炭素を吸収してくれる。となればいいのですが、1.木を伐らない、2.木を伐って使えるように手入れしていない、3.木を伐っても植林しない、と言うのが日本の多くの人工林の現状のようです。
そうすると、日本の山は木材を抱えたまま、荒れる一方になるわけです。今、日本がつぶれて地中に埋もれてしまうと、何千万年か後に原油になって出てくるなんて事があるかもしれませんね。などと、笑い話のような話をしている場合ではないようです。
外国から木を輸入して、外国の森林資源を荒らしている状態と、日本の木を使わずに、日本の山を荒らしている状態を見ていると、目の前の経済性だけを優先させてきたことへのつけが回ってきたような感じがします。
でも、木を使わないとどうして山が荒れるのでしょう。
自然の山は、人間が手を加えなくてもずっと健全な状態を保っているんじゃない?と言うような話を、来週したいと思います。