ネタ切れするまで続く
木曜日は木の話
トップに戻る
2005年7月

その102  木V          7月28日
 
日本の住宅の多くは、木造です。土台、柱、梁といった構造体が木でできているわけです。木は伐ってしまえば生物としては死んでしまいます。乾燥されますから、ドライフラワーのような状態になっているわけです。それでも、木は腐ったり燃えたりするまで、中に固定した二酸化炭素はそのままの状態になっています。
日本の住宅に使われる木の問題は、大きく分けると2つあります。(私的に見てのことです。)
ひとつは、木材を大量に輸入していると言うことです。梁に多く使われてきたベイマツを始め、スプルースや集成材の材料にもなるホワイトウッドやベイツガなどがあります。これらを伐採する現場を実際に見たことはありませんが、再生が難しく、森林面積の減少や砂漠化の問題がおきているようです。
もう一つは、日本の木材が使われていないという問題です。そのため日本では、ここ40年ほどの間に人工林の木材蓄積量が3倍以上に増えているそうです。木材の輸入先とはまったく逆の減少です。
日本の森林のほとんどは、山(斜面)です。広い平地から大量に伐り出す外国産の木材は、狭い斜面から伐り出す日本の木材よりも、遠くから運ぶ輸送費を見ても安くなる、と言うことなんですね。
住宅を建てる時に「いい家を安く建てたい」と、誰もが思います。市場経済の原理からいっても、それはそれで大切なことなのかもしれませんが、もっと別の考えもあるような気がします。
 



その101  木U          7月21日
 
「地球温暖化」、よく聞く言葉です。その原因の一つに、二酸化炭素の放出量の問題があります。昔と今とを比べて、なにが二酸化炭素を多く出しているのでしょうか。木をいっぱい燃やすようになって木が減ってきている、・・・訳ではなく、石油などの化石燃料を大量に使い始めたからです。
石油は何百万年か何千万年か昔の森林資源が、地中で変化して出来たものです。その昔閉じ込められた二酸化炭素を、ここ40〜50年の間に大量に使うようになって、空気中のCO2濃度が上がってきたことは確かなようです。
地球にも、比較的暖かい時代や氷河期のように寒い時代があったわけで、それとCO2との関係は良く知りません。一説には、地球はそうやって暖かい時代と寒い時代を繰り返してきていて、今の温暖化はその範囲の中だと言う考えもあるようです。でも、暖かくなりすぎて生物の生態系が極端に変わったり、日本が海に沈んだりしては困りますよね。
いま、石油製品をまったく使わない生活に切り替えることは不可能でしょう。その対策が温室効果ガス(二酸化炭素等)の削減というわけで、アメリカが同意しない「京都議定書」には具体的な数値目標が出ていたりするわけです。
しかし、目標の通りに削減されたとしても二酸化炭素は出てくるわけで、それを解決するには、もう一度木にして二酸化炭素を固定してしまえばいいと言うことになります。が、話は私が考えて分かるほど簡単なわけはありません。と言うような話を来週にしたいと思います。



その100  木          7月14日

木は地面に根付いて育って大きくなります。最初は小さな苗だった木が育って大きくなる=木材の体積が増える、ということになります。人間は口から食べ物を食べて、成長して大きくなります。では、木は自分の体積を増やす養分をどこから取り入れているのでしょうか。
当然木は地面に根付いていますから、そこから水分と一緒に養分も吸い上げます。でも、地面から吸い上げる養分、たとえば窒素(N)リン(P)カリ(K)は、生命の維持のために使われるもので、木が成長する原料ではないそうです。
では、木が育つ(体積が増える)ための養分はどこから来るかといえば、そぉ、葉っぱです。言わずと知れた「光合成」と言うやつです。
光合成というのは、葉っぱの中の葉緑素が太陽の光をエネルギーとして、空気中の二酸化炭素を使って糖分を作り出すものだそうです。その際に、CO2(二酸化炭素)のCを自分の中に閉じ込めて、Oを大気中に放出します。
木が成長するという事は、その分空気中の二酸化炭素が減っていくことを意味しているわけです。
木曜日は木の話も、なんと今回が100回です。最近の話はけっこう横道にそれていたので、今週からしばらくの間、シンプルに木について普段考えていることを話してみたいと思います。



その99  カビと湿気          7月7日
 
カビの発生を防ぐには、一つは清潔にすることです。水周りは水分に加えて栄養分も多いので、汚れを流しておくことが大切です。
もう一つは湿気を抑えることです。それにまずは換気です。窓を開けるときは、風が入る窓を大きく開けるよりも、風が出て行くほうの窓を大きく開けると効率よく換気ができます。出口が大きいと中の空気が正圧になりにくくて、空気のまわりがよいみたいです。
また、排気の換気扇をまわす場合は、必ず給気を確保します。特に浴室やトイレのように小さい部屋は、締め切ったままで排気の換気扇をまわしても、排気能力は充分に発揮されませんので、窓を少し開けておくとか室内側のドアにガラリをつけておく等するといいですね。
湿気を抑えるのにもう一つ、内装に調湿性のある木材を使うことも有効です。内装に木を使った場合とそうでない場合の、湿度の変化を比較すると、その変動幅が半分以下に抑えられ、湿度も低くなっているという試験データがあります。
この場合は皮膜のできるクリアラッカーやウレタンなどの塗装をすると、ほとんど調湿性がなくなってしまいます。何も塗装しなくてもいいと思うのですが、汚れが気になる人は天然のワックスや柿渋などの、浸透性の素材で塗装すればダイジョブです。
この間米沢に行った帰りに、西川町の国道沿いにある温泉施設によってきました。壁には桧が張ってありました。浴室の中なので当然湿気が多いわけで、腰のタイルの部分は濡れていましたが、木の表面は全然結露していませんでした。さわってもサラサラしています。
私の知っている大工さんで、押入に桐(集成材)の板を張る人がいます。これなら押入の結露やカビも、心配いらないですね。
湿気の多いこの時期、ムク材のフローリングであれば裸足で歩いてもペタペタしないで、サラッとした感じがします。その場合は、もちろん無塗装か浸透性の塗装に限ります。