ネタ切れするまで続く
木曜日は木の話
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2005年3月

その86  水の話          3月31日

ふだん水を飲むとき、皆さんはどうしますか。私は水道の水をそのまま飲みます。塩素がどうだとか、地下水でなくなったからどうだとか言う話もありますが、それほど気にしたことはありませんでした。
でも、毎月大工塾に通っている埼玉の水道水は(埼玉全域ではないと思いますが)、そのままではちょっと飲めません。特にいつもお世話になっている設計事務所の水道の水は、口に含むとしびれる感じがします。そのため、2日間で500mlのペットボトルの水を3〜4本買っています。
不便だなぁと思っていたところに、今回の大工塾のテーマは「水について」でした。
公共下水道の話、今設置されている合併処理浄化槽や、その前まで設置されて今も使われている単独処理浄化槽の話、下水道が抱える現状や浄化槽から出る水がどのぐらい綺麗なのか(汚いのか)。そのときの話は、実感としてあまり無いのでここではお話しませんが、決して良い現状ではないようです。
地球上の水のうち97%は海水だそうです。残りの3%の淡水のうち80%が氷だそうです。残りの20%のほとんどは地下水だそうです。私たちが一番多く目にする河川水は淡水の0.004%=水全体の百万分の一しかない、それを地球上のすべての人が使っているのだそうです。ずいぶん少ないものですね。
環境についての話も色んなところで聞くことがありますが、あまりにも大きくて実感が沸かないと言うのが正直な気持ちです。が、自分の建てた家が100年後解体されるときにどのぐらいゴミになって、どのぐらいリサイクルされるのかを考えるのと一緒に、自分の生活から出る排出物がどう処理されて、環境にどう影響されるのか、ゴミの分別や公共下水道だから安心ではなく、もうちょっと考えないといけないのかなと思った、いつもとは違う大工塾でした。



その85  エンピツ          3月24日
 
最近、事務所でエンピツをよく使います。
エンピツ削りもありますが、やっぱりナイフで削ったほうが、芯の出具合やとんがり具合が調整できてモアベターですね。
削っていて気が付いたんですが、エンピツの軸になっている木にも年輪がありました。まぁ、あたり前の話ではありますが。これは針葉樹の年輪でした。調べてみるとアメリカから輸入する“インセンスシダー”という木だそうです。
シダーというと思い浮かべるのは、ウエスタンレッドシダー(ベイ杉)です。ベイ杉といっても桧の仲間で、湿気にも強く外壁に使われたり、目もまっすぐで素直なので建具に使われたりします。きっとこのインセンスシダーも狂いの少ない素直な木なんでしょう。
私が高校を卒業した頃は、入った事務所でもまだT定規で手書きの図面でした。エンピツも使っていましたが、シャープペンシルが多かったので、まともにエンピツを使うのはかなり久しぶりと言えます。まして最近ではパソコンで図面を書く時代ですから、使うのは赤エンピツぐらいで、さらにエンピツから離れていました。
エンピツはシャープペンシルと違って、手に持った感触が軽くて暖かくて、なんともいいですねぇ。
ところでこのエンピツの芯、どうにも炭に見えてしょうがないのでこれも調べてみました。そしたら違いました。同じく炭素(C)ですが石炭やダイヤモンドの仲間で、木炭とは別物、中国から輸入するコクエン(黒鉛)というものに粘土を混ぜて作るのだそうです。
ちなみに、エンピツを漢字で書くと「鉛筆」となりますが、金属の鉛とはまったく関係ないそうですから安心して使えますね。
エンピツは、わざわざ買ってこなくてもいっぱいあります。高校の時に製図の実習で使ったもの、中学校や小学校のときに使っていたもの、小学校の低学年の頃に買ってもらった24色の色エンピツのセットもまだ使っています。しばらく買わなくてもすむほどいっぱい残っています。私が現役で仕事をしている間に使いきれるだろうか、などと考えています。



その84  結露U          3月17日
 
生活の中から出てくる湿気は、相当な量になっているそうです。生活しながら湿気を全く出さないと言うわけにはいきません。そうすると出た湿気を結露しないようにして排出する、と言うことになります。
結露を抑えるには、温度差を小さくすることが効果的です。温度差をなくするには、一日中暖房や換気を一定にするような高気密高断熱住宅は有効であると言えます。しかし、そのことだけを取り上げて高断熱高気密が良いということも出来ないし、全部の家がそうなっているわけではないので現実的な話ではありませんね。
そうすると、あとは湿気をいかに結露させずに排出するかです。これは換気するか除湿するかしかありません。
私の家ではシンプルですが除湿機を使っています。それと扇風機で風を動かして洗濯物を早く乾かすようにします。風が動くことで、表面に結露するのをある程度防ぐことが出来るようです。
暖房を消して、部屋から出るときに除湿機のスイッチをON→そのうちに空気が冷えてきて湿度が上がる→除湿機で水分が取りやすくなる。で、窓枠の結露を最小限に抑えることが出来ると思っています。
それと、換気も有効です。窓を開けるか換気扇を回すかになりますが、日中留守のときに窓を開けておくわけにはいきませんから、やはり換気扇でしょうか。私の家では最後に お風呂に入った人は、換気扇のスイッチをONにして出てきて朝まで回しっ放しにしておきます。それで浴室の湿気が他の部屋に流れるのを防ぐことが出来るし、カビもかなり押さえられているようです。
私の事務所では、トイレの換気扇は24時間まわしています。それと冬は玄関の換気扇を日中私がいる時間帯は回しています。人のいない、暖房をしていない部屋を換気(排気)していることになります。アルミサッシもそこのお宅よりもワンランク性能の低いタイプですがほとんど結露していません。もちろん事務所で炊事をしたり洗濯物を干したりはしないので、出る湿気の量が違うこともあると思いますが、暖房は湿気の出る普通のファンヒーターです。
部屋で温められた空気は必ず建具などを通して隣の部屋に流れます。暖房をしていなければその部屋の内側表面、とくに外気に直接接するアルミサッシやその枠は冷たくなっている訳で、そこに結露が発生することになるのだと思います。そのままにしておけば一旦結露した水滴は、乾くことなくたまっていく状態になります。そうすると、その暖房をしていない部屋を換気することも有効なのかもしれません。
なんだか分かったような分からないような話になってしまいましたが、また気づいたことがあったときに追加でお話したいと思います。
 
と、今日は木の話でありませんでしたね。



その83  結露          3月10日
 
先日、去年家を建てたお客様から結露するとの話があって、棟梁と一緒にお邪魔してきました。
主にアルミサッシの枠の部分の結露で、特に2階の結露が多くでていました。その家の状況をまとめてみると
・普段は1階で暖房をする。
・2階の一部屋(南面)に洗濯物を干してその部屋は暖房する場合もある。
・結露は2階の洗濯物を干す部屋よりも他の部屋(寝室)のほうが多い。
・日中は無人になる。
結露は空気が露点温度になった場合や、温度差が10度以上あると起こるといいます。
1階よりも2階のほうが多いことについて考えてみると、
・1階の空気がが暖房で暖められる
・生活で出る湿気(炊事・浴室・呼気等)を含んだ暖かい空気が2階に流れる。
・その空気が冷やされて湿度が上がる。
・壁や天井よりも冷たい窓枠で結露する。
といったことが考えられます。窓枠は外に直接面しているので冷たいわけですが、熱伝導率も壁材や天井材よりも高いので結露しやすいと言えます。
洗濯物を干した部屋よりも他の部屋のほうが結露が多いと言うのは、
・洗濯物を干した際に暖房すると空気中の水分量が上がる(同じ湿度でも暖かい空気のほうが水分を多く含んでいる)
・その際に部屋全体(壁・天井や窓枠も)がある程度温まっていく。
・暖房を止めて空気が冷えてくると露点温度に近くなる。
・暖房をつけた部屋は部屋の仕上げ面や窓枠も少し温まっているので結露しにくい。
・隣の部屋に流れていった空気はやはり露点温度になって、熱伝導率の高い窓枠で結露する。
と言う流れでしょうか。
部屋の向きで、窓枠に日が当たるかどうか、それで日中部屋やアルミサッシの枠が温めれられているかどうか等も関係してくると思います。冬の日がさしている時にアルミサッシの枠の部分にさわってみると、寒いにもかかわらず結構温度が上がっているのがわかります。
結露は暖房している部屋よりも隣の部屋や押入など、建具一つ隔てたところで起こりやすいといわれています。
だったらその対策はどうすればいいのか、と言うことですよね。
と、話が長くなってきたので来週にしたいと思います。



その82  人工乾燥の木材          3月3日
 
去年から通っている大工塾の2月の講座で、伝統型工法の仕口や継ぎ手の強度実験をしました。その中に同じ形の仕口で材料を天然乾燥で作ったものと、人工乾燥(高温乾燥)で作ったものの比較が予定されていました。
実験機械の関係で仕口の強度実験ができなかったのですが、その木材を使って圧縮強度の比較の試験をしました。
強度の違いについては個体差もあるので、1個の試験体の結果でどうこう言うことは出来ないと思いますが、圧縮試験で潰した試験体を見ているときにあることに気がつきました。それは臭いです。
人工乾燥には色んな方法がありますが、温度を100℃〜120℃ぐらいまで上げて乾燥するものを高温乾燥と言います。高温乾燥された木材は天然乾燥のものや未乾燥材に比べて、ひび割れや変形・収縮が少なくなるわけです。そして、中温や低温乾燥のものよりも早くローコストで乾燥できるため、最近特に高温乾燥が増えているようです。
この高温乾燥された木材は、表面的にはひび割れや反り狂いがあまりありません。が、切って断面を見ると、木材が中でひび割れしています。この時に試験に使ったものもそうでしたし、その前の大工塾で杉の話を聞いたときに、講師のW氏がサンプルで持ってきたものもそうでした。
そして、その高温乾燥材は臭いが杉の香りではなく、すっぱいと言うか甘いと言うか、少し焦げたような香りがしていました。乾燥の段階で高温になるから、木材に何らかの変化があるんだろうなぁと思っていました。
この日潰した天然乾燥の試験体を見ていてその臭いをかいだとき、高温乾燥の木材と同じような臭いがしたのです。何故かは分かりません。
木材は圧縮されて1/3ぐらいの体積まで潰されています。繊維が裂けたり割れたりして、グシャッと潰れています。きっと木自体が潰れた影響で、何らかの変化がおきて臭いが出たのでしょう。
木材の細胞が生物的に正常な状態でいられる温度は(表現が正しいかどうか分かりません)、80℃ぐらいまでだそうです。そうすると高温乾燥では、木材の細胞が何らかの変化をしているのかもしれません。で、それが木材が破壊されたときと同じような臭いだとしたら、高温乾燥と圧縮破壊に共通の変化があるとしたら、どうでしょうか。
臭いだけの話なので何もはっきりしている訳ではありませんが、確かに高温乾燥された木材はノミを入れるともろいと言いますから、ちょっと考えてしまいますね。