ネタ切れするまで続く
木曜日は木の話
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2005年2月

その81  炭と灰          2月24日
 
木炭は、燃料以外にも様々な使われ方をします。住宅では床下に敷くのが一般的ですよね。
暮らしの中でも、冷蔵庫やトイレの消臭、お風呂に入れると湯垢の発生を防ぐ、などの効果があるそうです。また、ご飯を炊くときに入れると炭のミネラル分が出ておいしくなるそうです。このミネラル分は、木のままだと溶け出しにくいのですが、炭を焼くときに熱が加わって溶け出しやすくなるんだそうです。
それと炭は農業にも相当使われているようです。たとえば病害虫の予防や連作障害の防止、土壌改良にも役立つそうです。映画「北の国から」では、畑にまく木酢液を取るために一生懸命に炭焼きをしてましたよねぇ。この木酢液も病害虫の予防に効果があるそうです。
それだけでなく、燃えたあとの灰も色んな使われ方をします。山菜のあく抜きに使ったり、笹巻きに使ったり、畑に撒くと土壌改良などの効果があるそうです。それを考えると、昔話の花咲かじいさんが灰を撒いて花を咲かせたと言うのも、あながち嘘ではないような気もしてきます。
炭の粉を呑むと胃腸の病気にも効くと言う話もあります。
と、万能薬のような炭ですが、この効能はまだ解明されていない部分が多いのだそうです。なので、いくら自然の物だからといってむやみに使うと害になる場合もあるようなので、気をつけないといけませんね。



その80  木と炭          2月17日
 
普通、炭は燃えてもけむりがでませんよね。(質によっては煙いのもありますが)
木は燃やすと煙が出て炎が出て燃えて、やがて灰になります。その木を燃やしている途中で、燠火(おきび)になったころで火を消すと消し炭になります。この消し炭は、普通の木炭と同じように使えます。
暖炉で木を燃やしてできた燠火を取り出して、火鉢においても煙たくないし炎も出ません。木が燃えるときに炎と煙が出るのは、始めの部分だけだと言うのがよくわかります。
この燠火でも、充分火鉢の火として用が足ります。お正月も友達の家で、この燠火を取り出して炭火焼で一杯やってきました。(なぜか炭というとお酒の話になりますね)
人間が火を使うようになったのは、約40万年ほども前の北京原人の時代と言われています。きっと火が消えた後に消し炭が出来ているのを見つけて、炭を使うようになってきたんでしょうね。
木炭には焼き方で白炭と黒炭があるわけですが、材料になる木の樹種によっても性質が色々違うようです。普通私たちが調理や暖房の燃料として使うのは、ナラやカシ等のドングリ系の木です。火がつきやすく比較的火持ちもよいのが特徴です。
木の成分は約50%が炭素(C)で、残りのほとんどが酸素(O)、それに水素(H)、etc・・・だそうです。木は熱せられると300℃ぐらいで可燃性ガスが出ます。この時に空気があれば燃えてしまって灰になるわけですが、空気を遮断して燃えない状態にすると炭素(C)が残って木炭が出来るわけです。
そんな原子の世界のことを知ってか知らずか、人間は太古の昔から炭と付き合ってきているわけですね。



その79  炭火U          2月10日

この間、事務所で使っているのと同じ木炭をもっていって、友達の家で炭火焼をしました。焼いた場所は囲いがあったとは言え外、その日は風が強く吹雪状態でした。その風にあおられて、何もしなくても火が勝手に熾きてきてくれます。
前回お話した太くて軽い炭、これは火のつきがとっても良くて、ちょっとガスコンロにかけてやると、じきに熾きてくれます。この日に使った炭は太い炭でしたから、なおさら火が熾き易かったのでしょう。その代わり火持ちは良くないですが、手軽で扱いやすいですね。
逆に細めで固い炭は、中々火が熾きません。その分火持ちはよくって、温度もこっちのほうが高くなるようです。炭焼きの温度を高くして焼いた白炭のような感じがします。
炭は燃えていくときに、チリチリと音をたてます。その音を聞いていると、なんだか落ち着いてきます。この音も炭によって違ってきます。固い炭は、キンキンと跳ねるような音をたてるのに対して、柔らかめの炭は、ガサガサと崩れるような音をたてます。
黒炭と白炭には、燃え方に明らかな違いがあります。
黒炭は、燃えている炭に新しい炭をのっけると、燃えている炭に近いほうから赤くなって燃えてきて、遠いほうは最後までそのまま黒く残っています。固めた雪に水をかけて片側から融かしていく感じです。これは考えるに普通ですよね。
同じようにすると白炭の場合は、燃えている炭に遠い反対側が白く灰になってきます。不思議ですねぇ。なんとなく炭全体が一緒に燃えていくと言った感じで、徐々に表面全体が灰になっていきます。石鹸が使っていて小さくなっていく感じです。
事務所で使う炭も、ごく固いものは白炭と同じような燃え方をするものもあります。どうしてなのかは分かりませんが、どなたか知っていたら教えてください。
炭火を見ていると、一日でも飽きません。と言っても、一日中ずぅっと見ていたことはありませんが、炭火を見ているとスルメでも炙って一杯やりたくなってきますよね。今度一緒にどうですか、土曜日の午後あたりにでも・・・。



その78  炭火          2月3日
 
最近の木の話は固い内容が続いていたので、今日は一息入れたいと思います。
事務所では冬になると、毎日玄関にある火鉢に炭を入れます。朝事務所に来てお湯を沸かしたあとに、火熾しの網に適度な大きさの木炭を4本ほど、ガスコンロで約4分ぐらいで火が熾きてきます。それを火鉢に移して別の木炭を2本ぐらい乗せてやると、徐々に火が廻ってきて、20分ぐらいでカッカカッカと熾きてきます。
でも、そのままにして置くと最後まで燃えないで、途中で消えてしまいます。適度に酸素が送られるように火箸で動かしてやります。花に水をやっているような、金魚に餌をやっているような気持ちになりますね。最初のころは加減がわからなくて失敗もありましたが、最近は冬の朝の楽しい日課になっています。
木炭は、町内の山のほうに住んでいるAさんが焼いているものを仕入れています。
この炭も色々あります。径が2〜4p程度の枝の部分の炭は、断面は丸いままになっています。5〜10p程度のものは半分に割れているものが多いです。もっと大きいと、何等分になっているのかわからないぐらいで、断面が四角や三角になっています。
形だけでなく、中身も違います。硬くて断面に隙間が少なく、ぶつけるとケンケンと金属音がするもの、これは細いものに多いです。折ると、カリーンという音を立てます。これは小さくても重さがあります。
逆に断面に隙間が多くて、ぶつけるとガサッという音がするもの、これは太いものに多いです。これは折ろうとすると、グシャっとつぶれてしまったりします。こっちは大きさの割には軽くなります。
同じ人が同じ条件で、たぶん同じ釜の中で焼いた木炭、それでもこれだけの差が出るんですね。釜のどの位置に入れて焼いたかによって、焼かれるときの温度に差が出るからなのか、細いと焼かれやすいのか、元々の木の性質もあるのでしょうかねぇ。今度Aさんに聞いてみたいと思います。