ネタ切れするまで続く
木曜日は木の話
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2004年6月

その48  ホームセンターの木          6月24日

ホームセンターという名前の木があるわけではありません。(あたり前ですね)
最近のホームセンターでは、いろんな規格の木材が安く売られています。値段だけを見ると、この辺の木材屋さんでは太刀打ちできないほどの勢いです。建材類や、設備器具関係でも同じ状況ですよね。
なぜこんなに安く出来るのでしょうか。
まずはセオリー通りに、同一規格の大量仕入れと、搬送・流通コストの削減です。
しかしそれだけではなく、製造するときにホームセンター用に独自に作っているものが多いのだそうです。つまり通常流通するJISなどの規格ではなく、ホームセンター用の規格で製造する、と言うことです。
ですから、中にはJISの規格では外れるような品物があったりするのでしょう。でも、その場で見ても分かりませんよね。私もわかりません。
たとえば、シックハウスの関係で表示されているF☆☆☆☆なんかも、基準がどうなっているか?今度聞いてみようと思います。(また、泥縄式ですみません)
日曜大工や、家庭園芸で使うには多分支障があるものではないと思いますので、手軽に使える材料として便利に使っていくのも一つの選択肢だと思います。



その47  腐りやすい木と腐りにくい木          6月17日
 
木が腐ってくるのは、腐朽菌が繁殖してくる状態になるということです。
この腐朽菌の繁殖には、適度な温度と湿度、それに酸素が必要です。
住宅でこの条件に当てはまるところは、水まわり・床下などがあります。床下は下からの湿気だけでなく、部屋の内外の温度差による内部結露が原因で湿気を帯びる場合もあります。
換気をよくして乾燥を保てば木は腐りません。しかし、100%腐朽菌が繁殖できない湿度を維持できるとは限らないのが現状です。そのため床下や水まわりは、防腐処理をしたり腐りにくい材料を使ったりするわけです。
腐りにくい木の代表は、針葉樹ではヒノキ・ヒバ・カラマツなどがあります。同じマツでも、エゾマツやアカマツは腐りやすいようです。杉はその中間ぐらいといったところです。
広葉樹ではケヤキ・クリなどがあります。ブナやナラは、ケヤキのように硬くフローリングに使われたりしますが、残念ながら腐朽には弱いようです。
また同じ材料でも、心材のほうは腐りにくく、辺材のほうは腐りやすい性質を持っています。これは、木に含まれる腐朽菌に抵抗する成分の量に違いがあるためにそうなるようです。
同じ杉でも心材を土台に使って、辺材からは板材や造作材をとる、といった使い方をすると、材料をを無駄なく使うことができる訳ですね。
小規模の製材屋さんでは、今も木を見て無駄なく使う工夫をして製材していると思いますが、大規模な生産ラインに乗っかると、きっとそこまで気を使っていないんだろうなぁ、と思います。ましてプレカット工場直結の加工までのラインになると、柱や梁の元と末、板材の裏と表も見ないで加工されていくとも聞きます。
家を建てる場合、自分の家に使う木材の、製材される前の丸太をみることが出来るかどうか聞いてみると、どういうラインに乗るか分かってくると思います。
 


その46  木の耐火性能U          6月10日
 
建物から見た耐火性能で先週書いたことのほかに大事なことは『人体を麻痺させるような有害なガスが出ないこと』です。
これは、おもに表面の仕上が関係してきます。実際の火災でも、ガスで窒息死する場合が多いと聞きます。
鉄骨からは有害ガスは出ませんが、内部の壁天井は鉄板というわけにはいきませんよね。当然何らかの建材を使います。
同じくコンクリートは、コンクリート現しの打ち放しの住宅なども雑誌には載っていますが、熱伝導率の高さからいって、とても快適とは思えません。冬は冷たく温まるまで時間がかかり、夏は日中の暑さを蓄熱し、夜中もホッカホカ状態です。
木造の場合、構造だけでなく仕上も木にすることが出来ます。できれば新建材ではなく、ムクの板を張れば快適さも抜群です。
木はある程度水分を含んでいます。日を近づけても、その水分がなくなるまでは100度以上にはなりません。また、先週お話したように、厚みのあるものは崩れるまでの時間がかなりかかるので、壁を厚みのある板で板倉にするとか、床も合板を重ねるのではなくムク板の厚物を使うとかすると、丈夫な上に快適な空間になるでしょう。
 
実際にマウスを、コンクリート・鉄・木、それぞれの箱で25℃の気温で飼育して、生まれた子供の生存率を比べると、コンクリート=5%、鉄=50%、木=90パーセント、といった具合に大きな差が出たそうです。
人間の場合でも、体の熱を奪われるとそれがストレスになって、落ち着きがなくなることが認められているそうです。また、校内暴力が起きてきたのは、校舎が木造から鉄筋コンクリートにかわって、子供たちの心の成長に影響したからだと言う教育関係者もいるぐらいです。
快適な空間は、気密や断熱、または冷暖房といった物よりも、建物本体や肌に触れる床壁天井の熱伝導率が、大きくかかわってくることに間違いはなさそうです。
 
話が、耐火性能からそれてしまいました。
そろそろネタ切れの兆候でしょうか。
 


その45  木の耐火性能          6月3日
 
木は燃えます。コンクリートと鉄は燃えません。故に木は火に弱い、・・・でしょうか。
建物から見た耐火性能で一番重要なことは、『中にいる人が逃げ出すまで、建物が崩れない』と言うことです。
木は260度ぐらいになると可燃性のガスが発生します。そうすると木に火が燃え移った状態になる訳です。
断面の大きい梁や柱を見た場合、その表面が燃えて炭化し、そして灰になっていく訳ですが、そのスピードは毎分0.7ミリです。30分でも21ミリ程度です。部材の強度にその分の余裕があれば30分の間に逃げ出せるわけです。
逆に鉄の場合は、燃えなくても熱による強度の低下が急激に起こるので、火災の状況によっては建物の倒壊がかなり早い次期に起きることもあるわけです。
構造材の強度は、地震や積雪などの力がかかった状態を想定しています。大雪の時に大地震がきた瞬間に、その上に火災が起きれば、表面が21ミリも焼ける前に崩れ落ちるでしょう。が、そんな可能性は考えられないぐらい低いですよね。
通常はかなりの安全率を見て部材を決めますので、よほどの事がない限り逃げることが出来るはずです。
それには逃げ道を確保しておくことが大事です。階段以外に窓から逃げる方法を考えておくとか、ロープなどを準備しておくとか・・・。
と書きながら、さっそく我が家でもと考えている、泥縄式のような自分にちょっと呆れています。
 
余談になりますが、最近は出来なくなりましたけども、分厚い雑誌やマンガ本を燃やしたことはありませんか。早坂さんは分厚いラブレターなんかを燃やしていたかもしれません。
ピッタリ閉じている本はそう簡単に燃えません。一枚一枚を見れば薄い紙ですが、隙間がないと大きな断面の木材と同じです。その本をページごとに空気が入るようにバラバラにしてやれば、一気に燃えてしまいます。
木もベニヤ板のように薄いものは燃えやすいですが、断面が大きい梁や柱は、燃え尽きるのにかなり時間がかかるということになります。
とは言うものの、火事を出さないことが一番ですよね。