ネタ切れするまで続く
木曜日は木の話
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2004年5月

その44  ヤニ          5月27日
 
建物を建てたあとに、木からヤニが出てくるといったことが時々あります。特に松の場合が多く、梁に使われる米松や、敷居などに使われているピィラー(松系)などでもあります。
ヤニが出るところを樹脂道(ヤニ袋)といいますが、これは木がに何らかの力がかかって傷ついたりした時にできるもののようです。ヤニはその傷ついたところをを守るために分泌する体液ののようなものです。
この樹脂道は、木を製材した後も活動し続けるため、建物になったあともかなりのヤニを出す場合があるようです。
このヤニ、対処方法としてはふき取るぐらいしかありません。
どうしてもヤニを避けたい場合は、熱を加えるとヤニが出なくなるので、加熱の人工乾燥をするという手もあります。
しかし毒でもないので、あまり気にせずに時々エタノールなどでふき取ってやるぐらいで、大目に見てはもらえないでしょうか。
たまたま知り合った女の子は(大学生=出会い系や援交ではない・念のため)、「蜂蜜がたれてきたと思って舐めてみたたら甘くなかったけど、あれはなんなの?」などとのたまうつわものです。



その43  木のキズ          5月20日
 
木を使うならムク材がいい。でも傷がつくのがいやだ、と思っている人は意外と多いようです。
フローリングでは、合板のフロアーは表面を強化する塗装がしてある物が多く、ムク材よりは傷つきにくい物が多いことは確かです。
特に樹脂系の被膜をつくるWPCといわれる塗装は確かに硬く、かなりの力でも傷つきません。
通常の使用状態であれば、あまり手入れしなくても10年・20年そのままの状態でいます。
しかし、一旦傷がつけばもとに戻ることは無く、表面が剥がれれば、別の材質の物が出てきます。
無垢のフローリングの場合であれば、表面が欠けても中からでてくるのは同じ木です。また、おしキズ程度であれば、スチームアイロンや蒸タオルを当ててやれば、しばらくすると戻ります。これはへこんだ部分が水分を吸って膨らむためです。
桐や杉などの軟らかい木は押しキズがつきやすいわけですが、その軟らかい木ほど水分を吸い込みやすく、へこんだ部分は回復しやすいようです。
またムク材であれば、表面にサンダーをかけてワックスでも塗ってやれば、新品同様になってくれるわけです。
私がよく行く友達のログハウス、当然床はムク材です。改めてみれば傷つき放題、無数の押しキズ擦りキズがあります。でも、それが気になるようなことは一切無いですね。傷も模様のうち、家の成長と同化しています。
 
余談
私はずいぶんご無沙汰してますが、その昔デートで喫茶店に行くと、ストローの紙を小さくたたんで灰皿において、その上に水をたらしてやると、たたんだ紙がヒョロヒョロと伸びていく、「あぁ、この紙生ぎっだぁ」などと遊びましたよね。(私だけですか?)
きっと、木のへこみが直るのと同じ原理なんじゃないでしょうか。
 


その42  芯持ちと芯去り          5月13日

3月・4月は木炭や薪ストーブの話をしてきたので、久々に普通に木の話をしたいと思います。 
柱などの角材で、樹芯が入っているものを芯持ち材、樹芯を外して材料を取っているものを芯去り材といいます。通常この辺で使われている柱は、ほとんどが芯持ちです。
この芯持ちと芯去り、柱の場合でどう違うかを見てみましょう
まずは見た目です。
芯持ち材の場合は4面とも同じ板目(放物線がたくさん重なった感じ)の模様が出ます。一本の木から4本の柱をとった場合の芯去り材では、隣り合った2面は柾目、もう2面は偏った板目になります。
乾燥による変形はどうでしょう。
芯持ち材は芯の部分より外面のほうが収縮が大きいので、当然ひび割れします。芯去りの場合は、正方形の断面が木の直径方向に長いひし形に変形します。そして、芯持ち材のような大きなひび割れは起きません。
では、強度はどうでしょうか。
芯持ち材の柱は強いと大工さんが言っているのを、私も聞いたことがあります。しかし、それは一概には言えません。色の濃い心材の部分は耐不朽性はあっても、力学的な強度は大きいとは限りません。特に髄から10〜15年輪までは未成熟材といって、それ以降にできる成熟材よりも強度は小さくなります。特に人工林で、小さいころからいい環境でのびのび育った材料は、未成熟材の部分の年輪幅が広く=弱い部分が多い材料ということになります。
そうすると芯去り材のほうがいいのかな?ということになりますが、柱で芯去り材をとるには芯持ち材の柱をとる場合よりも、2倍ぐらいの直径の丸太が必要になります。人工林・天然林、どちらの場合でもそれだけの大径木は少なくなってきたので、多くの柱は芯持ち材になる訳です。また、柾目を選ぶ場合でなければ、見た目でも芯持ち材がこのまれるようです。
 


その41  薪と森          5月6日
 
薪ストーブやペレットストーブ、もし日本中・世界中の家で使い始めたら、木や森はなくなってしまわないのでしょうか。
ちゃんとした数字は見たことがありませんが、そんな心配は要りません。
身のまわりを見ても今現在、無駄に捨てられて二酸化炭素を吐き出している木はたくさんありますよね。建築用材も、解体されたあとは殆ど資源になっていない状態でしょうし、木工関連の端材もそうです。果樹の剪定作業などの際に出る木もたくさんあります。それらは全部、使えば資源です。
ただ、使うには少々手間がかかります。
一冬分の暖房の薪を調達して薪にするのに、数日間力仕事をしないといけません。炭焼きも大変な重労働のようです。
でもそれは一人ひとりが、自分の生活の一部としてやっていく事なのではないかと思います。
それをしないで他人任せの形になると、大手企業やメーカーの流通に乗っかったり、行政主導の対策=税金を使った政策で規制がかかったり、大きな処理場ができたりしてくるのでしょう。
住宅にしても同じように思います。
便利な物・きれいな物をメーカー主導の宣伝にあわせて取り揃えるのは、ある意味簡単です。でも、生活の主たる場である“住まい”です。自分のスタイルで自分の気持ちで、暮らしの空間を考えてみるのもいいのかなぁ、と思います。きっと、楽しいですよ。