ネタ切れするまで続く
木曜日は木の話
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2004年2月

その31 重い木・軽い木          2月26日

木の重さは樹種によってかなり違います。今月に話をしてきた断熱性や熱伝導率は、木の重さと関係があって、重いほど断熱性が低く、熱伝導率が高くなります。
杉の比重を1とすると、アカマツ1.39、ケヤキ1.63、
杉の熱伝導率を1とすると、アカマツ1.27、ケヤキ1.64
となり、比例に近い関係になります。
他に木の重さと関係があるのは強度で、重い木ほど強度が大きくなります。
杉の曲げ強度を1とすると、アカマツ1.36、ケヤキ1.53
となり、ほぼ比例します。
もう一つ重さに関係あるのが、乾燥による収縮率です。
柾目方向の収縮率では、杉を1とすると、アカマツ1.6、ケヤキ1.6となります。
強度はあっても重くて縮む、あるいは、断熱性があって肌触りが良いけども弱い、それぞれの特徴を理解して使う事が、いい家づくりの基本ですね。



石の上にも3年、木の上にも30回、になりました
 
その30 木の断熱性          2月19日
 
断熱性の決め手は熱伝導率です。
木は仕上材や構造材の中では熱伝導率が低い、と言うことは断熱性が高い材料と言えます。たとえばログハウスの壁は丸ごと木でできているわけですから、断熱材で家を建てているようなものです。
冬に暖まった部屋の窓を一斉にあけて、空気を全部入れ替えたとします。一時、部屋の空気は外気に近い温度になります。でも、すぐにもとの部屋の温度に近くなりますよね。朝、寒い部屋に暖房をつけたときの、数十分の一の時間で部屋の空気が暖まります。
この場合、建物本体が温まっている分、その熱が空気を暖めてくれる訳ですが、その度合いは熱容量によって決まります。蓄熱床暖房は、熱容量が高いコンクリート等に熱を蓄えて、それを放熱している訳です。
コンクリートは、熱容量は高いのですが、熱伝導率も高めのため、寒い部屋で触ると非常に冷たく感じます。同じ部屋で木に触ると、コンクリートほど冷たくは感じません。
熱伝導率は軽い木ほど低くなり、ゆえに断熱性が高いと言うことになります。
木は熱伝導率が低い上に、比較的熱容量が高い材料なので、上手に使うと夏涼しく冬暖かい家ができることになります。
部屋の空気が温まっていても、壁や天井が冷たいままだと、人間はその輻射熱で不快に感じます。その点木の建物は、冷たい輻射熱が少ないので、暖房のつけ始めは快適であると言えます。逆にコンクリートの建物は、いつでも一定の温度に保たれているような、たとえれば高断熱高気密のような建物にあっていると言えます。
コンクリートの箱と木の箱に、それぞれマウスを飼って比べてみると、コンクリートの箱にいるマウスの平均寿命は、木の箱にいるマウスの半分と言うデータもあります。この決め手は熱伝導率かな、と思います。怖いですね。
熱伝導率が人体に及ぼす影響、そんなことを研究している人はいないでしょうかね。



その29 木材と結露          2月12日

この時期、部屋の中で暖房していると、アルミサッシの枠やガラスに結露しますよね。
言うまでも無く、部屋の空気とガラスなどの温度差によるものです。一般的に10度の差があると結露が起きるといわれています。しかし、枠が樹脂や木製ののサッシはほとんど結露することはありません。これは熱伝導率が低いため、枠の表面温度が空気に伝わりにくいということと、表面の温度が暖められた場合その温度が内部に伝わりにくく、表面の温度が下がらないので、空気との温度差が少なくなるためです。
庄内で建てられる住宅は、木造が一般的です。他には、鉄筋コンクリート造・鉄骨造、等があります。この場合、木や鉄筋コンクリート・鉄骨といった部分は、表面の仕上げを指すのではなく、建物をささえる構造本体の部分を言います。
木は熱伝導率が低いので、表面に結露が目に見えて現れることはことはめったにありません。鉄やコンクリートが構造体として使われている場合と比べると、壁体内結露の可能性は非常に低くなります。
では、木造住宅の壁体内結露はどの部分で結露するのだということになります。これは、暖かい空気が冷たいところに入り込んで、今まで持っていた水分を持ちきれなくなってこぼしてしまうような物なので、木の表面と空気のの温度差で結露する以上に、空気全体が冷やされているという状態です。木にも断熱材にもそのこぼれた水が付着します。
付着した水は壁の中だと乾きにくいので、構造体を腐食させることになるわけです。
高断熱高気密の住宅で、断熱はしっかりして、気密は換気のことも考えてそこそこで良いんじゃないか、と言われることがあります。この場合の気密工事は、部屋の中の空気を外に出さないというよりも、屋内の湿った空気を壁の中に入れないという意味合いが高いので、やはりしっかりした気密工事が必要になります。そのうえで、窓を開けるなどの配慮が必要になるわけです。



その28 木材と湿気          2月5日

伐採したばかりの木材は、含水率が150〜200%あります。それが製材され建物になったあと、ある程度の含水率で安定します。それを平衡含水率といいますが、約15%です。
平衡含水率は周りの状況によって多少上下します。と言うことは、木材は湿気を吸ったり吐き出したりするわけです。
その量は、柱1本で最大1.8リットル程度だそうです。かなりの量がありますね。
空気中の湿度が高くなると湿気を吸って、湿度が低くなるとその湿気を吐き出すわけです。
部屋の仕上に木を使えば、自動的に部屋の湿度を調整してくれるわけです。なんと賢いこと。
これはムク材に限った事ではなく、集成材や合板でもある程度あります。
ただ残念な事に、通常は塗装してしまいますので、その効果はかなり低くなってしまいます。浸透性の塗装の場合はそんなに違わないのですが、良く使われるクリアラッカーなどの塗膜性塗装の場合は調湿効果は、あまり期待できなくなります。
それではと言うことで、せっかく使った木の部分を塗装しないとどうなるでしょう。手で触ったりする部分は汚れやすくなります。それに、汚れも落ちにくくなります。それさえ気にしなければ、別にどうにもなりません。
私が前に手がけたログハウスでは、外部は浸透性の塗装をして、内部は床にワックスを塗っただけで、あとはそのままです。だんだん日焼けして、落ち着いた色になってきました。ムク材がどうなるかの見本のようなものですから、良ければご案内します。
たとえば桐のタンス、これは塗装してませんよね。かなりの温度・湿度の変化でも結露したりはしないはずです。