ネタ切れするまで続く
木曜日は木の話
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2004年1月

その27 日焼け          1月29日

先週の最後に、木も数年のうちに日焼けして・・・、という話をしました。この日焼けは、やはり紫外線によるものです。
和室の柱なんかで経験がありませんか?全体的に日焼けすれば気になりませんが、カレンダーや時計を掛けておいた後なんかは、かなり目立つほど違ってきますよね。
これは表面だけなので、カンナをかけると、また下の新しい色の木肌が出てきます。
人の日焼けは、赤くなってからだんだん黒くなってきます。木材の日焼けは、淡い色の部分は濃く変化して、濃い色の部分は色あせして薄い色に変化します。不思議ですね。だから、造作材なんかの色の不ぞろいを、そんなに気にしなくても数年のうちに馴染んでくるわけです。
日焼け防止用の塗装なんかもあるようですが、完全に抑えることはできないようです。そんな事をしなくても、自然に任せておくと、落ち着いたいい色になってきますよね。


その26 赤身と白太          1月22日

皆さんは、杉の丸太の切り口を見た事があるでしょうか。中心に近い部分は色が赤っぽくて、外側の部分は色が白っぽくなっています。
この中心に近い部分を心材、色が赤っぽいので赤身といいます。そして外側の部分を辺材、色が白っぽいので白太といいます。白身じゃありませんよ、刺身じゃないですから。
心材と辺材の差は、杉の場合が一番分かりやすいようです。また、同じ杉でも色にはかなりばらつきがあって、黒っぽかったり、茶色っぽかったりしています。同じ日本人でも、顔の色がけっこう違っているのと似ていますね。
心材は成長の過程で、細胞の組織が変化してできるものだそうです。人間にも年とともにシミがでてきたりするのと、これまた似ていますね。
心材と辺材の違いは、色のほかに耐不朽性があります。杉の心材は耐不朽性に優れていて、土台としても充分耐える事ができます。ただ、心材で4寸角程度の土台をとるには、それなりの大きい丸太からでないと取れないので、今のところ実用的とは言えないですね。
和室の柱や造作材に、この赤身の部分が黒っぽく目立って出ていたるすると、嫌われて薬剤で脱色したりします。人間でいえば、エステに通うって感じでしょうか。
でも、そんな事をしても機能的に変わるわけではないし、木も数年のうちに日焼けして、全体の色がなじんで来ます。できれば、そのままにしておいた方がいいと、私は思います。


その25 年輪について          1月15日

木の木目と言うのは、柱や板になった時に見える木の年輪です。年輪と言うぐらいですから、一年周期で一つの年輪が出来ていきます。あたり前すぎますね。
年輪の巾が詰まっている事を「目が詰まっている」といって、一般的には強いと思われている節があるようです。はたしてそうでしょうか。
針葉樹である松や杉の年輪は、色の濃い部分を晩材といって、気温が低く成長が遅い時に出来るものです。通常は目が詰まっていると確かに強度は高いのですが、年輪巾が1mm以下というような極端に狭い、つまり成長のよくない木は、比重も小さく強度も低くなるようです。
広葉樹のケヤキやナラの年輪は、春の成長する時期にできる道管(水を吸い上げる穴)の部分が濃く見えます。と言うことは、この目が詰まっている材料は穴だらけと言う事になって、比重も小さく強度も低いという事になります。
では、この強度が低い材料は、良くない材料かと言えばそうではありません。
目に見える部分の造作材に使われたり、加工しやすいので木工用材として使われたりします。それぞれにちゃんと役割があるんですね。


その24 竹について          1月8日

木の話もお正月を迎えて2年目突入です。
お正月と言えば門松、この門松には竹が使われています。また松・竹・梅といえば縁起物、きっと昔から日本人の生活に深く関わってきたんでしょうね。
竹は住宅にもけっこう使われています。見えるところでは、床の間の落し掛けや腰壁の化粧材、また土壁の小舞は、竹が多く使われていました。敷居のスベリとしては高級材と言えるでしょう。
ところでこの竹、いったい何者でしょうか。松や梅は木ですが、竹の木とはいいません。タケ科として一つの分類をする見方もあるようですが、植物学的には稲の仲間に入るんです。
言われてみると竹や笹の節は、稲の節のようでもあります。また、めったに見る事がない竹の花は、稲の花に似てるそうですし、実は麦に似ているそうです。
花を咲かせて実をつけると、一生を終えるという点でも稲(草)の仲間である事がわかりますね。ただ、竹の花は60年に一度と言われるほど、一生の周期が長いんですね。
地上に出てくる竹の部分は、小さい時にタケノコになって私たちの口に入るわけですが、ほうっておくとズンズン伸びて、一日で1メートルも伸びる事があるそうです。
今年は竹が伸びるように、飛躍の年にしたいものです。