ネタ切れするまで続く
木曜日は木の話
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2003年12月

その23 木口(こぐち)          12月25日

木の口と書いて“こぐち”と読みます。
木材に口があるわけではなく(当たり前か)、立っている状態の木を水平に切った面、つまり年輪が通常丸くみえる面を木口と言います。製材した木の場合もその面を木口と言います。
木材は、水を吸って生長してきた植物ですから、細胞が集まって出来ています。拡大してみるをストローを束ねたような感じです。この束ねたストローをスパッと切った面が木口です。
この木口、他の面と少し違った性格をしています。
一つは、切った面にストローのような穴がたくさんあるわけですから、水・塗料・接着剤などがしみ込みやすくなっていることです。浸透性の塗装をすると、その面は塗料をいっぱい吸い込んで、濃い色になります。
二つ目は、面で力が加わると硬くへこみにくいということです。他の面はへこみやすく、反面木口よりも弾力性があります。
三つ目は、釘の引き抜き抵抗が弱いということです。つまり、釘を打ってもあまり効きません。日曜大工で棚やイスとかを作ろうとする場合は、釘の打ち所を考えてつくりましょう。
と言ったように木口は、面では強いのに釘をさすと実は弱い、いつも強がってるのに裏では寂しがり屋の誰かさんのような、微妙な性格なんですね。見かけたら大事にしてやってください。


その22 柾目と板目、表と裏          12月18日

木の表面の見た目の事になりますが、木目が直線で平行に走っているのを柾目といいます。それに対して木目が山形にというか、放物線のようにというか、そんな形のものを板目といいます。
木取りをする時に、樹芯に向かって年輪に対して垂直に切ると柾目になり、樹芯を外して切ると板目になります。
板目の場合、その板の樹芯側の面を「木裏」と言い、外側の面を「木表」と言います。
木は乾燥する時に収縮しますが、柾目面の収縮は板目面の収縮の2分の1程度です。この収縮の差から、柾目はほとんど反らないのに対して、板目は表が凹になるように反ってきます。
また、柾目の板のほうが量としてとり難いので、柾目のほうが高級な物として扱われていたようです。
使う時は、通常表が表面に出てくるように使いますが、反りの関係で裏を表にして?使うこともあります。また、樹芯に近い面が耐不朽性が強い場合があって、外壁に使う時は裏を外側にして使うこともあるようです。


その21 ナラについて          12月11日

前回、ナラ枯れの話をしました。
このあたりの山にはミズナラやコナラがけっこう多くて、杉山の中にもあちこちにあったりします。しかしナラやブナの類は耐不朽性に劣るので、建築用材としては低く見られていました。広葉樹の中でもケヤキやクリ等とは違うんですね。
日本ではブナやナラなどの広葉樹を雑木として扱い、明治以降はそれを伐採したあとに、スギやヒノキ等建築用材として使いやすい物を植林してきた経緯があります。
しかし、家具の材料やフローリングとして使われるようになってからは、その需要が多くなったようです。イギリスのアンティーク家具の中には、北海道から輸出されたナラ材が使われている物もあるそうです。イギリスから輸入した家具の材料が日本の木だった、なんてことがあるかもしれませんね。
ナラは硬くて、燃料としてはもちもよく最良です。友達の家にある暖炉でも使っています。あったかくって、気持ちいいですよー。
 
余談
この辺の山には、ナラの他にカエデもよくはえてます。ところでカエデとモミジ、どこが違うんだろう?と思ってました。どっちも手の形をした葉っぱが特徴ですよね。
これらの学名はどれもみなカエデで、その中の数種類がモミジという名前で呼ばれているようです。カエデ科カエデ属のイロハモミジ、といった具合です。ヒノキ科ヒノキ属のサワラ、のようなもんですね。


その20 松について          12月4日

松林と言うと海岸付近というイメージがありますよね。
松はやせた土地でも育ち、乾燥にも強い、だから砂地にも育つのでしょう。荒れた土地から見ると正義の味方です。
日本の松は、人間が生活燃料として木を多く使うようになった古墳時代から増えてきたそうです。木が切られたあとの裸の土地に、他の木に先駆けて松が生えます。その後に木陰で育ってくる落葉の広葉樹が育ってきます。この広葉樹が松の木に追いつくと、松の木は日光不足になり自然に枯死していくそうです。ちょっとかわいそうですね。その後、広葉樹の中に常緑広葉樹が混じってきて、森は安定します。
山の木を、薪や生活の中で様々な形で使っていた頃は、荒地に育つ松は非常に重宝な存在だったのでしょう。
ところで、最近聞く松くい虫の被害、このへんでもあります。カミキリムシが媒介する「マツノザイセンチュウ」という線虫類によるものですが、防除しても仕切れず、被害は広がっているようです。
もう一つ、最近このあたりの山を見ると、葉っぱが赤く枯れて見えるを見つけた方はいないでしょうか。これはナラ枯れと言って、ミズナラやコナラが枯れているものです。原因は「カシノナガキクイムシ」と言う小さな虫のしわざです。これも防除してもしきれず、被害は広がっているようです。
もしこうやって、日本からマツやナラがどんどん姿を消していったらどうなるのでしょう。
本当は、植林でもすれば再生は早いのでしょうが、そうでなくても何百年、何千年の単位で見れば山はちゃんと再生していくそうです。自然はすごいですね。