ネタ切れするまで続く
木曜日は木の話
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2003年8月

その6 その他の木質材料について          8月28日

木材を切ったときの断面を見ると、もちろん木です。集成材の断面を見ると、接着面が少し見えているものの、やはり木です。合板の断面はと言うと、接着面が多くていっぱい重なって見えるものは、かろうじて木ですね。
その他に木でできている建材を、その他の木質材料と私は呼んでいます。たとえばファイバーボードやパーティクルボードは木を繊維状にして圧着成形したもの、OSBやPSLは木のチップを成形したもの(さきイカを成形した感じ)。こうなると表面を見ても断面を見ても、木???という感じです。だんだん木から遠ざかっていくような感じです。が、端材や小径木の有効利用という面では非常に効果的です。
これも立派に構造用の物や仕上げ用のものがあり、枠材や建具、家具等にも多く使われています。合板や集成材を含めて、接着剤は湿気に弱い物が多いです。また使われている素材の木そのものが耐不朽性の低い物が多いので、使い方に気をつけないといけません。
木が加工されて、新しい形になり別の性質の建材になると、用途が広がったり力学的な強度が増したり、色々便利な点もあります。
住宅を建てる場合の材料として、単純にムク材と集成材(合板)・どっち?と聞いた場合は、多分ムク材というでしょう。しかし現実の問題として流通側(末端消費者も含めて)は、見た目や形のそろった物、価格の安さや工期の短さを要求してきます。それに対応して、木材の規格化、工業製品化が図られます。そして、これまでの話の中で私があえて欠点という言葉を使ってきた木の性質(収縮・通気・吸湿・放湿)、これらは木の大事な特性であるにもかかわらず、製品化の中で欠点として排除されることになったのです。
アバタもエクボ、ホントに木が好きなら木の特性を生かす方法を考えていきたいですね。「木を見る」と言いますが、立ち木の状態やあるいは製材した木を見て、その木の特徴をつかんで然るべき部材として然るべき場所に使う。そして、年を経るごとに味が出てくる、そんなスローハウスに住んでみたいものです。


その5 合板について          8月21日

今日は合板についてです。
いわゆる「ベニヤ板」と言われる存在で、一番なじみの深い建材なのではないでしょうか。基本的には、単板(木を薄くむいた板)を一枚ごとに繊維方向が直交するように接着した物です。これも構造用から下地材、仕上材まで幅広く使われています。なんと言っても特徴は、天然では存在しないような大きな巾の板材が生産可能で、しかも欠陥や伸び縮みの少ない物ができるということです。
そのまま使う合板と、化粧材の基材として使われるものがあります。現在住宅に使われるフローリングのほとんどは合板を基材とした物です。その中にも、単板を貼った物と、紙や塩ビシートに木の模様を印刷したのを貼った物があります。色ムラがなく模様もそろっている場合は印刷した物の可能性・大です。
それと知っていて、それがよくって使っている場合は良いんですよ。でも、そこまで説明している業者がどれぐらいいるか?私が直接設計監理を依頼される場合は中身も説明しますが、色、模様、床や建具のトータルコーディネート・・・etc、印刷にもその特徴を生かす使い方もあるようです。
合板の中で最もポピュラーなのがラワンベニヤでしょうか。少し環境問題っぽくなりますが、熱帯地方で産出されるこのラワンの林はなぜか再生が困難で、けっこう悪い影響を及ぼしているらしいのです。日本人は木食い虫だ、というような言葉を聞いたことがあると思いますが、そんなことが原因のようです。そこで今は人間の手で再生しやすい針葉樹に材料を替えつつあるようです。ただ、針葉樹は年輪がはっきりしていて、反りやすくて節が多いといった問題があり、技術的な部分は発展途上のようです。
合板は集成材より更に多くの接着剤が使われているわけですが、それも今はホルムアルデヒドの放散量の少ない物に改良が進んでいるので、正規のルートで建材店などから入るものは安心してよいでしょう。
もう一つ、ランバーコア合板と言うのがありますが、普通の合板は芯まで単板でできているのに対して、こちらは心材に挽き板(つまり集成材)を使い、主に厚物で、棚板や家具材などに使われています。
この次は、だんだん木から遠のいていく、その他木質材料についてお話します。


その4 集成材について          8月7日

今日は集成材についてです。
集成材と言われてその姿がポワッと頭に浮かぶでしょうか?基本的には挽板(ひきいた)を繊維方向に平行にして接着した物です。
その特徴はなんと言ってもムク材の欠点がかなり解消されていること。死に節、虫食い等の欠点を取り除いて、大きな断面の、しかも乾燥した材料を安定して生産できることです。大きなムク材は乾燥しにくいですが、集成材に使用される挽板は厚さ20〜30ミリ程度が普通で、当然乾燥も充分な状態で生産できるわけです。
非常に使い勝手がよく、構造材から造作材まで幅広い用途があり、表面に化粧の単板(薄く剥いだ板)を貼って化粧した物と、接着した状態そのままの物かあります。
使用される木材は様ざまで、できた物もそれぞれの性質を引き継ぐわけですが、ちょっと気になるのは接着剤。でも最近の物はホルムアルデヒドの問題のない物に替わっているようです。それと湿気には弱い物が多いのでその点は気をつけないといけません。置かれる環境がよければ接着強度は問題ないようです。1951年に日本で最初につくった集成材が今も正常な形で残っているし、つくったばかりの物よりも30年たった物の接着強度が高まっているというデータもあります。
こういった材料の特徴を見極めて適材適所、それが一番ですね。
この次はなじみの深い?合板についてお話したいと思います。