「山形掃除に学ぶ会」年次大会講演会より
掃除で美しい心に
校長 海藤 三重子

「人はいつも見ているものに心が似てくる。美しいものを見ていると、自分の気持ちもそうなりますし、汚いもの、乱れたもの、雑なものを見ていれば、必ずそういう風になっていく。だとしたら、なるべく美しいものに接して、気持ちもそういうものに似ていってもらいたいと思うのです。」と、日本を美しくする会鍵山秀三郎相談役はおっしゃっています。

9月11日、高校の同級生からさそいがあり、「山形掃除に学ぶ会」年次大会講演会に参加しました。そのときにお聞きした講演の内容の一部です。

鍵山秀三郎氏は、現在イエローハットの相談役(平成10年に社長退任)で「日本を美しくする会」の創唱者です。創業以来続けている「掃除」に共鳴し、各地に「掃除に学ぶ会」が広がっているそうです。この鍵山秀三郎氏は、「誰にでもできる簡単なことを、誰でも出来ないようにやってきた。」と話しています。誰でも出来ないことというのは、掃除、特に「トイレ掃除」のことです。誰でもが嫌がる「トイレ掃除」に徹底的に取り組むと、自分の中にいろいろな「気づき」が生まれるそうです。同級生がものの見方、考え方が変わってくると言っていたのを思い出しながら、鍵山氏の話に何度もうなずき、必死でメモを取りました。

同級生は、「掃除に学ぶ会」に関わり、トイレ掃除に積極的に取り組んできたようです。この会は、掃除を通して人の役にたつことをねらいとした全くのボランティア活動です。この「トイレ掃除」のことを、5.6年前に(楯岡小学校で実施)聞いていました。各地から、中学生を含む50代位までの60名を超える方々が参加して、各自1便器に2時間かけての作業、しかも、素手。最初に臭いが消え、便器は,新品同様に磨き上げられ、床も壁も蛍光灯まで清潔になったという話です。今年度も、楯岡小学校でやり、講演の次の日に楯岡高等学校で実施しています。

講演を聞いて、声をかけてくれた同級生に感謝しました。心が洗われた感じがしました。また、自分の小心さに気づきました。トイレ掃除とまではいきませんが、道端のごみが目につくようになり、拾うようにしています。しかし、勇気がいります。人のいるところでは、手が伸びません。また、このまま通ってしまえと別の心がささやきます。でも、鍵山氏の言葉「小善を為し、小悪を為さず」「言葉だけでなく、まず行動から」を自分に言い聞かせています。人間としての原点を諭してくれた講演で、目から鱗でした。

最近、心のすさみのひどさを感じます。窃盗・虐待・殺人など、忌まわしい事件が日本各地で起きています。ごみがごみを呼ぶと同じように悪が悪を呼びます。今必要なことは、思いやりのある温かい心と倫理・道徳心です。その心を育むには、身の回りに、目の届くところに、美しいもの・感動できるものがたくさんあればいいのです。毎日目にし、接していけば心も美しくなり、感動できる心が育ち、広まっていくでしょう。

まず、「一歩踏み出す力」「実行する力」「継続する力」が求められていることを切に感じています。