山形県の母なる河、最上川の上流部の川辺、西に朝日連峰を望む白鷹町広野に「千利庵」をかまえています。
空家になっていて、かつて養蚕をしていた妻の実家を、少しだけ改装して蕎麦屋を開業いたしました。
長井市と山形市を結ぶ国道287号線から旧道に入ると、昔ながらの集落があり、その穏やかな雰囲気の中で蕎麦を打っております。
高い天井を持つ部屋と、お蚕様(おかいこさま)を育てていた天井がある部屋とをつないで店にしていますが、店内には囲炉裏が2つきられており、農家の佇まいを残しています。
四季の移ろいがわかる山形の田舎です。元々が酒屋ですので、出羽桜等のおいしいお酒も用意しております。ゆっくりと蕎麦をお召し上がり下さい。

遠藤 利郎という人
 千利庵の主人、遠藤利郎氏。元をただせば長井でも屈指の老舗酒店、「相模屋」の若旦那である。なかなかの遊び人である。誤解の無いように言い直せば多趣味の人である。

 例えばスポーツマンである。
 テニスを教え、バトミントンを教え、その昔は一晩かけて県内を自転車で一周したりしている。
 例えばミュージシャンである。
 長井ジャズクラブの事務局長であり、サックスを吹き、歌を吠える。腰を振って踊りまわる。
 例えば料理人である。
 子羊を1頭ローストしたり、蕎麦を打つ。

 そして蕎麦屋である。
 自分で旨いと思ったものを人に食わせたいと思うのは道理であろう。人に褒められてその気になるのも道理であろう。
 普段口の悪いジャズクラブの連中に褒められて、そそのかされた結果がこの「千利庵」というわけである。すぐにその気になってしまうのもどうかとは思うが、おかげで美味い蕎麦が食えるのだから、我々としてはそそのかした甲斐があったというものだ。

 粉は会津は山都町から仕入れている。
 早朝から打ち始めて、1日50食が限度であると言う。11時から2時までの営業とはいうものの、昼過ぎには「本日の営業は終了いたしました。」の貼り紙である。予約なしではとても食えない。30〜40分待てば時により打ってもらえる、という具合である。

 先日、全国をまわる蕎麦食いであり、ジャズミュージシャンであり、微塵子研究家としても有名な坂田明氏が、千利庵の蕎麦にまみれにまみれながらのたまわった。「うまい!」と。

 もし、その気になったらご賞味あれ。

                                (長井ジャズクラブII会長 今泉壮)  

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全国各地から蕎麦好きの方においでいただいており、記念にと名刺をクリップボードに貼ってくださる方も少なくありません。いつの間にか3つのボードがいっぱいになってしまいました。
また、所属しているジャズ愛好団体、長井ジャズクラブの仲間、写真家の宇津木正紀氏の作品を常時展示させていただいております。